アナウンス力検定2級・3級とは?筆記と実技の内容、勉強法と仕事での活かし方

「アナウンス力検定に合格したら、アナウンサーや司会の仕事に応募するときの武器になるのかな」 「筆記と実技があるらしいけれど、何をどう練習すればいいのか分からない」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、アナウンス力検定は、声と話し方を使う仕事を目指す人や、すでに案内放送・接客で話している人が、自分の発声・発音・日本語の力を第三者の基準で確かめるための検定です。2級と3級は同じ試験を受け、筆記の点数と実技の評価で級が決まります。

一方で、資格名だけで採用が決まる検定ではありません。アナウンスや司会の募集では、音声データや面接で声と話し方そのものが見られます。合格は、その準備を進めた証拠として使うのが現実的です。

この記事では、主催する一般社団法人 話しことば研究機構の実施要項をもとに、試験の中身と勉強法、合格後の活かし方を解説します。

結論:アナウンス力検定は転職や仕事に役立つ?

結論は「声で伝える練習の到達点を示す材料にはなる。採用の決め手は、音声や面接で見せる話し方そのもの」です。今の状況と照らし合わせてみてください。

あなたの状況 受ける価値 次の一手
アナウンサー・司会・ナレーターを目指している
+
まだ人前で話す実績が少ない
◎ 発声・発音・即答スピーチを外部の審査員に見てもらえる 次回の検定を目標に、録音しながら練習を始める
駅・空港・商業施設などで案内放送や接客をしている ○ 普段の話し方を共通語の基準で見直すきっかけになる 実技の4つの課題を、職場の放送文で練習する
話す仕事に就く予定はない
+
応募書類に書ける資格を増やしたい
△ 書類での効き目は小さい 応募する仕事で求められる資格を先に調べる

アナウンス力検定は、受検資格の制限がなく、誰でも受けられます。受けるかどうかは、試験の難しさよりも「声で伝える仕事や場面が、今かこの先にあるか」で決めるのが筋です。

アナウンス力検定とは?1分でわかる基本情報

アナウンス力検定は、一般社団法人 話しことば研究機構(大阪市北区)が実施する民間の検定です。実施要項のPDFでは「日本語アナウンス力検定」という名前で案内されています。同機構は、NPO法人日本話しことば協会で理事長を務めた沢昭子氏の考えを受け継ぐ団体として、2020年(令和2年)12月に設立されました。

公式サイトで実施要項が出ているのは2級と3級です。1級の実施要項は、2026年10月1日時点で公式サイトに掲載されていません。

2027年の検定の概要

項目 内容
主催 一般社団法人 話しことば研究機構
級 2級・3級(同じ試験を受ける)
受検資格 制限なし。どなたでも受検できる
受検料 2・3級併願 9,900円(税込)
春検定 東京会場 2027年3月13日(土)、大阪会場 3月14日(日)、いずれも13:30〜17:00
春検定の申込締切 2027年2月26日(金)
春検定の合否通知書 2027年4月5日(月)ごろ発送
秋検定 東京会場 2027年9月11日(土)、大阪会場 9月12日(日)、いずれも13:30〜17:00
秋検定の申込締切 2027年8月27日(金)
秋検定の合否通知書 2027年10月18日(月)ごろ発送
申込方法 公式サイトの受検申込フォーム
合格率 公式サイトでは公表されていない

出典:アナウンス力検定(実施要項)|話しことば研究機構、実施要項PDF(2027年) (2026年10月1日確認)

受付は試験開始の20分前からです。申し込んだあとの受検料の返金や、次回への延期はできないと実施要項に書かれています。会場の詳細は、入金確認後に届く受検票で案内されます。10名以上の団体受検なら、団体が指定する日時と会場で実施することもできます。

受検料は「2・3級併願 9,900円」の料金だけが示されていて、どちらか一方の級だけを申し込む料金は載っていません。

筆記は25分、実技は1人7〜8分

試験は筆記テストと実技(アナウンステスト)の2つです。

区分 時間 評価 3級の基準 2級の基準
筆記テスト 25分 100点満点 70点以上 80点以上
実技テスト 1人7〜8分 A〜Eの5段階 C以上 B以上

2級と3級は同じ問題を受け、筆記の点数と実技の評価が、どちらの級の基準に届いたかで決まります。たとえば筆記で80点を取っても、実技の評価がCなら、実技は2級の基準(B以上)に届いていません。2級を目指すなら、筆記と実技の両方で上の基準を狙う必要があります。

実技は、事前課題1つと当日問題4つ

実技では、次の5つを話します。

  • 事前課題「私のストレス解消法」
    60〜90秒で話す。名前を言う時間も含み、メモや原稿は見られない
  • 共通語での発声・発音
  • ストレートに読む
  • 朗読作品を読む
  • 即答スピーチ力

立ったまま、豊かな声量で話すよう指示されています。採点は当日のほか、録音・録画したものを複数の審査員が行います。

合格すると、カード型の合格証と合格証明書がある

合格者には、合否通知書とともに2・3級それぞれの合格証(カード型)が発行されます。就職や資格手当のために「合格証明書」が必要な場合は、本人の申請で発行してもらえます。発行手数料は1通2,000円(送料込み)です。

アナウンス力検定は求人でどう扱われる?

資格名を応募条件に書いた求人は、確認できなかった

2026年10月1日に、求人検索サイトの「スタンバイ」で「アナウンス力検定」と「アナウンス検定」を検索したところ、どちらも0件でした。「求人ボックス」では「アナウンス力検定」で119件と表示されましたが、検索結果の1ページ目に出たのは運輸職・総務事務・空港のインフォメーション・コールセンターなどで、検定名を応募条件や歓迎条件に書いた求人は見当たりませんでした。

2つのサイトを1日だけ調べた結果なので、どこにも求人がないとまでは言えません。ただ、「この検定があれば応募できる」「手当が付く」と求人票から読み取れる仕事は、少なくとも探しやすい形では出ていません。

アナウンスの募集では、音声と面接で話し方を見られる

アナウンサーや司会、ナレーターの募集では、声と話し方そのものを確かめる選考が組まれています。たとえば、フリーアナウンサーのマネジメント会社ボイスワークスの募集では、写真付きの履歴書・職務経歴書と一緒に、持っていれば音声データや映像データを送り、書類選考のあとに面接を受ける流れです。募集対象は「局アナウンサー経験者、または、フリーアナウンサーを目指す25歳以下の方」で、資格は条件に入っていません。

出典:フリーアナウンサーの募集|ボイスワークス(2026年10月1日確認)

こうした選考では、検定の合格よりも、送った音声や面接での話し方が評価の中心になります。アナウンス力検定の実技は、自己紹介に近い事前課題、原稿の読み、朗読、即答スピーチという組み合わせなので、選考で見られる場面をひととおり練習する機会として使えます。実施要項のPDFも、見出しに「オーディション対策には、日本語アナウンス力検定」と掲げています。

アナウンス力検定が役立ちにくいケース

(1)話す仕事と関係のない職種に応募する場合

事務職や技術職など、声で伝えることが中心にならない仕事では、検定名を書いても評価の材料になりにくいでしょう。応募先で求められる資格(たとえば経理なら簿記)があるなら、そちらを先に取るほうが書類での効き目は大きくなります。

(2)合格だけを書いて、話し方を見せる準備をしていない場合

アナウンスや司会の募集では、音声データや面接で実際の声が確かめられます。合格を書いても、送る音声の質が低ければ評価は上がりません。検定の実技で練習した読みやスピーチを、そのまま録音して応募用の音声に仕上げるところまで進めてはじめて、受けた意味が出ます。

(3)1級や上位の資格だと誤解して書く場合

公式サイトに実施要項が出ているのは2級と3級だけです。書類には、合格した級と主催団体の名前を正確に書きましょう。

とはいえ、これは「受けても意味がない」という話ではありません。声で伝える力を、自分では気づきにくい点まで外部の審査員に見てもらえるのが、この検定の価値です。

【立場別】アナウンス力検定をどう使うか

アナウンサーやナレーターを目指す学生は、選考前の練習の区切りにできる

放送部や放送研究会で校内放送やコンテストに出てきた人なら、実技の4つの課題は普段の活動に近い内容です。春検定は3月、秋検定は9月なので、就職活動のエントリーや音声提出の時期から逆算して、受検日を練習の締め切りに置けます。

合格者の声のページには、アナウンサー志望の20代男性が、検定の対策講座で「伝える」ことと「伝わる」ことの違いを学び、2級に合格してアナウンサー受験に備えている、という声が載っています。

駅員・空港・施設の案内など、放送や接客で話す人は、毎日の話し方を見直せる

駅の改札や車内、空港、商業施設のインフォメーションでは、限られた時間で聞き取りやすく案内することが求められます。実技の「共通語での発声・発音」「ストレートに読む」は、案内放送の原稿を読む場面とそのまま重なります。

同じ機構の合格者の声のページには、駅改札で案内業務をしている20代男性や、鉄道会社で駅員・乗務員として働く予定の高校生が、姉妹検定の音声表現力検定を受けた声も載っています(後の「あわせて取得すると強い資格」で紹介します)。職場での評価や手当につながるかは会社によるため、手当の対象になるかは、社内の資格取得支援の規程で確かめてください。

司会やナレーションで独立を目指す社会人は、依頼主に示す基準になる

フリーランスで司会やナレーションを請け負う場合、依頼主は口コミや実績で判断することが多くなります。合格者の声には、司会の依頼で「客観的な基準をクライアントに持っていただけるようになる」と書いた40代女性や、2級合格で得た発声・発音の基礎を足がかりに、企業VPのナレーションや式典の司会を目指す30代女性の声があります。

名刺やプロフィールに書く場合も、合格だけで終わらせず、ボイスサンプルや司会の実績と並べて見せると伝わりやすくなります。

出典:合格者の声|話しことば研究機構(2026年10月1日確認)

アナウンス力検定を活かせる仕事

仕事 主な内容 検定の練習が活きる場面
アナウンサー・リポーター ニュースや番組の読み、取材先でのリポート 原稿をそのまま読む、即答で話す
司会(MC) 式典・イベント・株主総会などの進行 共通語の発音、限られた時間で話をまとめる
ナレーター 映像・CM・企業VPの読み 朗読、声の強弱と間の取り方
駅員・乗務員 改札や駅構内、車内での案内放送 聞き取りやすい発声、案内文の読み
空港・商業施設のインフォメーション 館内放送、問い合わせへの対応 放送原稿の読み、敬語での受け答え
コールセンター 電話での問い合わせ対応 声だけで伝える発音と敬語

いずれも、検定の合格が応募の条件になっているわけではありません。仕事の中で求められる話し方を、検定の課題で先に練習できる、という関係です。

あわせて取得すると強い資格

音声表現力検定(同じ話しことば研究機構が実施)

アナウンス力検定と同じ団体が実施する検定で、2・3・4級があります。筆記30分・リスニング20分・スピーキング1人4〜5分の構成で、スピーキングには事前に送られる原稿の読み、1〜2分の自己紹介、質疑応答の対話があります。

アナウンス力検定が「読む・話す」を中心にしているのに対し、音声表現力検定はリスニングと対話も含みます。相手の質問を聞いて答える力を確かめたい人、接客や電話対応で話す人に向いています。合格者の声のページには、駅の改札で案内業務をしている20代男性が、鉄道乗務員としてお客様を迅速・的確に案内するための「話す力」をつけようと、音声表現力検定を受けた声が載っています。2026年の冬検定は東京会場が11月28日(土)、大阪会場が11月29日(日)で、申込は11月13日まで、受検料は2・3・4級併願で6,600円(税込)です。

出典:音声表現力検定(実施概要)|話しことば研究機構(2026年10月1日確認)

アナウンス力検定2級・3級の勉強法

筆記は、出題範囲が公表されていないことを前提に準備する

公式の実施要項には、筆記テストの時間(25分)と合格点(3級70点・2級80点)は書かれていますが、出題分野は示されていません。そのため、話す仕事で使う日本語の基準を、資料名で押さえていく準備が現実的です。

つまずきやすいのは次の3点です。

  • 敬語の分類と使い分け
    尊敬語・謙譲語・丁寧語の区別だけでなく、文化庁の「敬語の指針」では謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ・丁寧語・美化語を含む5種類に分けています。案内放送や司会でそのまま使う言い回しで、どれに当たるかを説明できるようにしておく
  • 表記のルール
    常用漢字、現代仮名遣い、送り仮名、外来語の表記は、文化庁が公表している基準があります。原稿を読む仕事では、読み間違いを防ぐ土台になる
  • 発音とアクセントの知識
    共通語のアクセント、鼻濁音、母音の無声化など、実技の「共通語での発声・発音」にも関わる知識を、言葉で説明できるか

25分で100点満点を解くので、1問に長く迷うと時間が足りなくなります。2級の80点を狙うなら、迷わず判断できる知識を増やし、迷う論点だけを調べ直す順番で進めるのが効率的です。

実技は、録音して時間を測りながら練習する

実技は1人7〜8分で、事前課題と4つの当日問題をこなします。練習のポイントは次のとおりです。

  • 事前課題は60〜90秒に収める
    名前を言う時間も含みます。メモや原稿は見られないので、話の順番(きっかけ→具体的な方法→どう変わったか)だけを決め、文章を丸暗記しないほうが本番で崩れにくくなります
  • 「ストレートに読む」と「朗読」は、読み方を分けて練習する
    ニュースや案内文は、感情を乗せずに正確に読むことが中心です。朗読作品は、場面や人物の気持ちに合わせた間と強弱をつけます。同じ声の出し方で両方を読まないように、録音して聞き比べる
  • 即答スピーチは、テーマを決めて30秒〜1分で話す練習を重ねる
    身近なテーマ(休日の過ごし方、最近うれしかったこと)を家族や友人に出してもらい、考える時間を取らずに話し始める練習をする
  • 立って、声量を出して練習する
    本番は立ったまま話します。座って小さな声で練習していると、本番で息が続かなくなります

自分の録音を聞くと、語尾が下がりすぎる、早口になる、鼻濁音が出ていないなど、話している最中には気づかない癖が分かります。

講座や公式の教材を使う方法もある

話しことば研究機構は、検定対策講座やボイストレーニング、話し方のレッスン(リモート可)、公式テキスト・教材の出版を事業として掲げています。実技を第三者に聞いてもらいたい場合は、講座・研修のページから相談できます。

出典:ご挨拶(法人概要)|話しことば研究機構、講座・研修|話しことば研究機構(2026年10月1日確認)

アナウンス力検定を仕事と応募に活かす進め方

合格証明書を用意し、正式な名前で書く

応募書類に書くときは、級と主催団体を正確に書きます。たとえば「日本語アナウンス力検定 2級 合格(一般社団法人 話しことば研究機構)」のように書くと、読む側が団体を調べられます。応募先や勤務先から証明を求められたら、合格証明書(1通2,000円)を申請しましょう。

検定の課題を、応募用の音声に作り直す

アナウンスや司会の募集では、音声データの提出を求められることがあります。検定で練習した「ストレートに読む」はニュースや案内の読み、「朗読」はナレーション、事前課題や即答スピーチは自己紹介やフリートークの音源に作り直せます。応募先の仕事(ニュース、イベント司会、企業VPなど)に近い原稿を選んで録り直すと、合格した級の説明より、声そのものが伝わります。

今の仕事での変化を、具体的に話せるようにする

すでに案内放送や接客で話している人は、検定の準備で何を変えたかを言葉にしておきます。「放送原稿を共通語のアクセントで読み直し、語尾を下げすぎないように直した」「敬語の種類を見直し、案内で二重敬語を使わないようにした」のように書くと、面接で話し方への意識が伝わります。

よくある質問

アナウンス力検定に1級はありますか?

2026年10月1日時点で、公式サイトに実施要項が出ているのは2級と3級だけです。1級の実施要項は掲載されていません。

2級と3級は、どちらを申し込めばいいですか?

2級と3級は同じ試験を受け、筆記の点数(3級70点以上・2級80点以上)と実技の評価(3級C以上・2級B以上)で級が決まります。受検料も「2・3級併願 9,900円」として案内されていて、級を選んで申し込む案内はありません。

合格率はどれくらいですか?

公式サイトでは合格率や受検者数は公表されていません(2026年10月1日確認)。筆記と実技それぞれの基準に届くかで判断されるため、両方の準備が必要です。

受検に年齢や経験の条件はありますか?

受検資格に制限はなく、どなたでも受検できます。公式サイトの合格者の声には、アナウンサー志望の20代から、会社員やフリーランスの30〜40代まで、アナウンス力検定に合格した人の声が載っています。

筆記は独学で対策できますか?

出題範囲は公表されていませんが、敬語や表記、発音など、話す仕事で使う日本語の基準を資料名で押さえれば独学でも準備できます。25分で迷わず解く練習には、直前ノートもご活用ください。

まとめ:あなたの次の一手

アナウンス力検定は、声と話し方を使う仕事を目指す人や、すでに案内放送・接客で話している人が、発声・発音・日本語の力を外部の基準で確かめる検定です。資格名で採用が決まるわけではないため、合格したら、練習した読みやスピーチを応募用の音声や今の仕事での話し方に移していくことが大切です。

次の検定は、2027年3月13日(東京)・3月14日(大阪)の春検定で、申込は2月26日までです。

参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。