消費生活アドバイザーは転職に有利?消費生活相談員との関係と求人での評価

「消費生活アドバイザーを取れば、転職で有利になるのかな」 「消費生活相談員の資格にもなると聞くけれど、本当に仕事につながるの?」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、消費生活アドバイザーは、自治体の消費生活相談員として働きたい人と、企業のお客様相談・消費者対応の経験を次の職場で活かしたい人には、転職で意味のある資格です。第2次試験まで合格すると、消費者安全法にもとづく国家資格の「消費生活相談員資格」も取得できます。

一方で、確認できた企業の求人では、消費者対応の経験を応募条件や歓迎条件に置き、資格は歓迎条件や選考での考慮にとどめていました。資格だけで希望する職場に採用が決まるとは限りません。

この記事では、日本産業協会・消費者庁・国民生活センターの公表情報と、自治体や企業の求人の募集条件をもとに、消費生活アドバイザーが転職でどう評価されるのかを解説します。

結論:消費生活アドバイザーは転職に有利?

結論は**「相談員の入口としては強い。企業の求人では経験とセットで評価される」**です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
消費生活相談員として自治体で働きたい
+
試験に合格(または受験予定)
◎ 自治体の募集で、応募条件そのものを満たせる 募集中の消費生活センターを探して応募する
企業のお客様相談・CS・品質保証の経験あり
+
資格あり
○ 歓迎条件として評価される。決め手は経験 経験と資格を並べて、相談部門の求人に応募する
消費者対応の経験なし
+
資格あり(または取得予定)
△ 企業の相談部門では資格だけでは足りない 未経験歓迎の相談員の求人から探す

受験資格に、実務経験も学歴も年齢の条件もありません。消費者対応の仕事をしたことがない人でも、合格すれば消費生活相談員資格を取得できます。ただし、相談員という職に就くには、自治体の募集に応募して任用される必要があります。詳しくは、後の「消費生活相談員・消費生活専門相談員との関係は?」で解説します。

消費生活アドバイザーとは?1分でわかる基本情報

消費生活アドバイザーは、一般財団法人日本産業協会の資格試験に合格し、登録した人に与えられる資格です。内閣総理大臣及び経済産業大臣の事業認定資格で、消費者の相談に応じるだけでなく、消費者の声を企業の経営や行政への提言に反映させる人材を養成することが目的とされています。1980年度に始まった試験で、合格者は2025年度までの累計で2万人を超えています。この試験は、国の消費生活相談員資格試験を兼ねています。

2026年度試験の概要

項目 内容
主催 一般財団法人日本産業協会(消費者安全法にもとづく登録試験機関)
受験資格 条件なし
受験申請 Webのみ。2026年度は7月1日〜8月31日(受付終了)
第1次試験 CBT方式(会場のパソコンで解答)。10月3日・4日・10日・11日から1日を選択。2時間。択一式と○×式の全30問(300点満点)
第2次試験 11月29日(日)。論文試験(60分・800字以内)と、10分程度の個人面接
合格基準 第1次は原則として正解率65%(195点)以上。第2次は論文がA〜Eの5段階でC以上、面接がA〜Cの3段階でB以上
合格発表 第1次は10月20日。第2次は2027年2月1日
受験手数料 通常受験16,500円。第1次試験免除での受験は13,200円(別に事務手数料418円)
合格率 第1次39.7%、最終29.0%(2025年度)
登録・更新 資格登録は合格後の申請制(登録管理手数料11,000円)。有効期間は5年で、更新には4単位以上が必要
次回以降の日程 協会が各年度に公表する試験概要で確認する。協会は、申請を例年7月〜8月末、第1次試験を例年10月の土日、第2次試験を例年11月下旬〜12月上旬と案内している

出典:日本産業協会 消費生活アドバイザー試験、日本産業協会 2026年度試験概要、2026年度受験要項(PDF)、資格更新のご案内 (2026年10月1日確認) ※受験前に必ず協会の最新の受験要項を確認してください。

第1次試験の範囲は、消費者問題、消費者のための行政・法律知識、消費者のための経済知識、生活基礎知識(医療と健康、食生活、住生活、広告と表示など)の4分野です。第2次試験の論文は、消費者問題・法律知識・企業経営一般知識の3テーマから1題を選びます。

2025年度の最終合格率は29.0%

年度 第1次試験(受験者数/合格率) 第2次試験の合格率 最終合格率
2024年度 1,204人/35.4% 77.5% 30.8%
2025年度 1,193人/39.7% 68.3% 29.0%

最終合格率は、第2次試験の合格者数を、第1次試験の受験者と第1次試験免除者の合計で割った数字です。受験資格に条件がないにもかかわらず、最終合格できるのは約3割です。第1次試験に通っても、2〜3割は第2次試験で不合格になっています。

2025年度の最終合格者368人のうち、41歳以上が286人、約78%でした。51〜60歳が152人で最も多く、最高齢は75歳、最年少は18歳です。社会人になってから、あるいは仕事を一区切りしてから取る人が中心の試験です。

出典:日本産業協会 2025年度消費生活アドバイザー資格試験の最終結果(PDF)、2025年度 第1次試験の合格者について(PDF) (2026年10月1日確認)

消費生活相談員・消費生活専門相談員との関係は?

転職を考える人が最初に引っかかるのが、似た名前の資格の関係です。消費者庁・国民生活センター・日本産業協会の公表内容から整理します。

合格すると、消費生活相談員資格(国家資格)も取得できる

消費生活相談員は、全国の消費生活センターなどで、消費者からの相談やあっせんに対応する専門職です。消費者庁は、消費生活相談員について、消費生活相談員資格試験に合格した人、またはこれと同等以上の専門的な知識と技術があると都道府県知事・市町村長が認めた人のなかから任用される、と説明しています。

この資格試験を実施できるのは、内閣総理大臣の登録を受けた登録試験機関です。登録試験機関は国民生活センターと日本産業協会の2つで、日本産業協会の消費生活アドバイザー資格試験は、消費生活相談員資格試験を兼ねて実施されています。そのため、第2次試験まで合格すると、次の2つの資格を取得できます。

  • 消費生活相談員資格(国家資格) 合格で取得できます。登録申請や更新はありません
  • 消費生活アドバイザー資格 合格後に登録を申請して取得します。有効期間は5年で、更新が必要です

消費生活専門相談員は、国民生活センターの別の試験

消費生活専門相談員は、国民生活センターの試験で付与される資格です。国民生活センターの試験も消費生活相談員資格試験を兼ねていて、合格者には消費生活相談員資格と消費生活専門相談員資格の両方が付与されます。日本産業協会の試験に合格しても、消費生活専門相談員の資格は付きません。どちらの試験も、合格すれば「消費生活相談員資格試験の合格者」になる点は同じです。

日本産業協会(消費生活アドバイザー資格試験) 国民生活センター(消費生活相談員資格試験)
合格で得られる資格 消費生活相談員資格(国家資格)+消費生活アドバイザー資格 消費生活相談員資格(国家資格)+消費生活専門相談員資格
受験資格 条件なし 条件なし(年齢・性別・学歴・実務経験を問わない)
受験手数料 通常受験16,500円 14,300円(2026年度)

出典:消費者庁 消費生活相談員、国民生活センター 消費生活相談員資格試験・消費生活専門相談員資格認定制度、日本産業協会 消費生活アドバイザー試験 (2026年10月1日確認)

名古屋市の募集要項では、応募条件に「消費生活相談員資格試験に合格した者」のほか、「消費生活専門相談員」「消費生活アドバイザー」「消費生活コンサルタント」のいずれかの資格を持つ者が並んでいます。どちらの試験に合格しても消費生活相談員資格試験の合格者になるので、「消費生活相談員資格」を条件にする募集には応募できます。ただし、応募条件は自治体ごとに決まるため、気になる募集の要項で必ず確認してください。

出典:名古屋市 会計年度消費生活相談員の募集(令和8年12月1日採用)(2026年10月1日確認。募集は終了することがあります)

資格を得るために、実務経験は求められていない

日本産業協会の受験要項に、受験や登録の条件として実務経験を求める記載はありません。受験資格は「条件なし」で、合格後の登録に必要なのは、申請と登録管理手数料11,000円です。

ただし、資格があることと、相談員として働けることは別です。自治体の相談員は、募集に応募して選考を受け、任用されてはじめて「消費生活相談員」という職に就きます。国民生活センターは、この職に従事していない人が名刺に「消費生活相談員」と書くことは避け、「消費生活相談員資格(国家資格)」のように書くよう案内しています。日本産業協会の合格者も、名乗り方は協会の案内を確認してください。

転職で消費生活アドバイザーが評価される理由

自治体の相談員では、資格が応募条件になる

確認した厚木市と鹿沼市の消費生活相談員の募集は、どちらも会計年度任用職員です。厚木市の募集では、応募資格に「消費生活相談員の資格を有する、もしくはこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有する人」が挙がっています。業務は、消費者と事業者の間で起きた苦情の処理やあっせんなどの相談対応と、相談内容の入力、出前講座です。

鹿沼市の募集では、「国家資格を有する者」と「国家資格を有しない者で国家資格を取得する意欲のある者」を分けています。月額報酬は、勤務日数が月18日の場合で、資格のある人が227,610円、ない人が206,415円です。資格の有無で月額が21,195円違います。

出典:厚木市 消費生活センターの相談員を募集します、鹿沼市 令和8年度会計年度任用職員(消費生活相談員)を募集します (2026年10月1日確認。募集は終了することがあります)

企業の相談部門では、歓迎条件として並ぶ

バンダイの「相談センター担当」の求人では、歓迎条件に「相談センター管理業務、システム業務経験者」と並んで「消費生活アドバイザー等 消費者関連資格保有者」が挙がっています。仕事は、外部委託先のコールセンターで行うお客様対応の統括や、お客様の声の分析と、企画開発への改善提案です。パナソニック マーケティング ジャパンの修理受付担当の求人でも、歓迎条件に「もしもし検定、消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー等の資格」があります。

どちらも必須条件ではありません。パナソニック マーケティング ジャパンの求人は、必須条件として「コールセンターまたは個人のお客様対応経験」を求めています。確認した求人では、資格より先に、お客様対応の経験が条件に置かれていました。

出典:バンダイ 相談センター担当(リクルートエージェント掲載)、バンダイ キャリア採用 相談センター担当、パナソニック マーケティング ジャパン 修理受付担当(リクルートエージェント掲載) (2026年10月1日確認。求人は掲載が終了することがあります)

取得した人は、企業の中で資格を使っている

日本産業協会が公表している、消費生活アドバイザー登録者数の多い企業は、日本生命保険が1,273人、明治安田生命保険が732人、第一生命保険が518人、トヨタ自動車が352人、パナソニックが292人です(2026年4月1日現在、法人単位の集計)。消費者と接点の多い企業で、すでに働いている人が取る使い方が中心です。出典:日本産業協会 アドバイザーの勤務先(2026年10月1日確認)

今回確認した求人に、消費生活アドバイザーを資格手当の対象と書いたものは見当たりませんでした。手当の有無や額は、応募する会社に直接確認しましょう。

消費生活アドバイザーが転職で有利にならないケース

ここまで読むと使い道が多い資格に見えますが、有利になりにくいケースも正直にお伝えします。

(1)経験なしで、企業の相談部門に応募する場合

証券・金融商品あっせん相談センターの相談員(嘱託職員)の募集では、応募条件が「金融商品取引業等に関連する苦情や相談に応じる業務、または消費生活に関する消費者からの苦情や相談に応じる業務に、一定の期間従事した経験を有する方」などです。消費生活アドバイザーなどの資格は「選考に当たり考慮します」とされていて、応募条件そのものではありません。月給は32万円からで、経験を積んだ人を想定した募集です。資格だけで経験者と同じ評価を受けるのは難しいと考えておきましょう。

出典:証券・金融商品あっせん相談センター 採用情報(相談員)(2026年10月1日確認)

(2)安定した長期雇用を第一に考えて、自治体の相談員を目指す場合

確認した厚木市と鹿沼市の募集では、任用期間は年度末までです。鹿沼市の募集では、勤務成績が優秀な場合は継続できるものの、最長3年で、3年を過ぎると再度受験が必要と書かれています。募集人数も、厚木市は1人、鹿沼市は若干名と少数です。複数の自治体の募集を見比べて、応募のタイミングを逃さないことが大切です。

(3)合格しても、登録をしない場合

消費生活アドバイザー資格は、合格後に登録を申請して、はじめて資格保有者になります。2026年度の試験の場合、登録申請の期限は2027年2月12日です。合格発表のあとに登録を忘れると、アドバイザー資格者として名乗れません。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。相談員を目指す人にとっては応募の入口になり、経験者にとっては経験を裏づける材料になる資格です。次の章で、状況別の活かし方を見ていきます。

【タイプ別】あなたの場合、消費生活アドバイザーは武器になる?

お客様相談・CS・品質保証の経験者は、経験を「消費者問題の知識」で裏づけられる

企業の相談部門で働いてきた人は、資格を経験の裏づけとして使えます。バンダイの求人にあるような「お客様の声の分析」と「企画開発への改善提案」では、クレームの件数を数えるだけでなく、景品表示法・消費者契約法・特定商取引法のような法律の考え方や、消費者問題の動向を踏まえて、何が問題なのかを説明する力が必要です。第1次試験の範囲は、その知識にあたります。

評価されやすいポイントは次の通りです。

  • 相談内容を法律や制度に照らして整理し、社内の関係部署へ説明できる
  • 製品やサービスの改善案を、消費者の立場から提案できる
  • 委託先や担当者への教育で、対応の根拠を説明できる

リクルートエージェントの公開求人を「消費生活アドバイザー」で検索すると、13件ヒットしましたが、募集条件に資格名が書かれていたのは数件でした(2026年10月1日確認)。お客様対応の経験を、法務・総務・品質などの管理部門の仕事で使う道も含めて比べると、選択肢が増えます。管理部門の求人に強い転職エージェントなら、相談部門と管理部門の両方の求人を見比べながら、経験を活かせる職場を探せます。

消費生活相談員を目指す未経験の人は、資格が応募の入口になる

消費者対応の経験がなくても、合格すれば、消費生活相談員資格を取得できます。自治体の募集では、資格が応募条件になっているので、資格があるかないかで、応募できる募集の数が変わります。

募集情報は、国民生活センターの「各地の相談員の募集」(毎週金曜に更新)や、日本産業協会の「人材募集情報」で、自治体ごとの募集をまとめて見られます。応募条件に「同等以上の専門的な知識及び技術を有する人」とある募集もあるので、資格が必須かどうかは、募集ごとの要項で確かめましょう。自治体の相談員を目指す人は、転職エージェントを通さず、自治体や消費生活センターの募集に直接応募するのが基本です。

すでに自治体の消費生活相談の事務に従事している人や、相談員として任用されることが決まっている人、過去5年間に自治体の相談事務に通算1年以上従事した人は、申請すると第2次試験の面接が免除されます。

福祉・金融・生活相談の経験者は、相談の幅を広げる材料になる

生活困窮者の相談や、家計相談の経験がある人は、消費者トラブルの相談にも応用できます。NTSホールディングスの「生活・就労サポート相談員」(契約社員、千葉県八千代市)の求人は、未経験歓迎で、歓迎資格に社会福祉士、キャリアコンサルタント、消費生活相談員、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナーが並んでいます。月給は21万円以上、想定年収は350万〜450万円です。

出典:NTSホールディングス 生活・就労サポート相談員(リクルートエージェント掲載)(2026年10月1日確認。求人は掲載が終了することがあります)

消費生活アドバイザーを活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 募集条件の例(求人記載)
自治体の消費生活相談員(会計年度任用職員) 消費生活センターで来所・電話の相談に対応し、あっせんや相談内容の入力(全国消費生活情報ネットワークシステム「PIO-NET」)、出前講座を行う ◎ 資格(または同等以上の認定)が応募条件 厚木市:時間額1,587円・月16日勤務/鹿沼市:月額227,610円・月18日勤務
企業の消費者相談・カスタマーケア部門(正社員) 相談内容の分析、委託先コールセンターの管理、製品・サービスの改善提案 ○ 歓迎条件。決め手は経験 パナソニック マーケティング ジャパン(大阪):月給21.9万〜29.91万円、想定年収420万〜570万円/バンダイ(東京):月給31.5万〜40万円、想定年収737万〜936万円
金融トラブルの相談機関の相談員 投資者などからの相談・苦情の受付、あっせん委員の補佐 △ 応募条件は経験。資格は選考で考慮 証券・金融商品あっせん相談センター(大阪):月給32万円〜(嘱託職員)
生活・就労の相談員(契約社員) 行政から受託した生活支援事業で、来所・電話の相談対応、支援プランの作成 ○ 歓迎資格の1つ。未経験歓迎 NTSホールディングス(千葉県八千代市):月給21万円以上、想定年収350万〜450万円

出典:上の章に挙げた各求人ページ(2026年10月1日確認)。バンダイの想定年収は、時間外手当30時間分と賞与を含む「理論年収」と求人に書かれています。年収は職務・勤務地・経験・残業代の扱いで大きく変わります。

あわせて取得すると強い資格

消費者志向エキスパート(CAP)

日本産業協会が認定する、消費者関連の幅広い知識を評価する資格です。消費生活アドバイザーの第1次試験を受けると、消費者問題と行政・法律知識の範囲で自動的に合否が判定され、別の申込も受験手数料も要りません。資格として登録するには、別に登録手続と登録料が必要です。第1次試験に挑戦する人は、同時にこの資格にも挑戦することになります。

ファイナンシャル・プランナー(FP)

NTSホールディングスの求人で、歓迎資格に並んでいた資格です。第1次試験の範囲にも、金融の知識や社会保険と福祉が含まれています。家計や年金、借入れの相談が絡む消費者トラブルで、制度の知識を使えます。

社会福祉士

高齢者や生活困窮者の支援にかかわる国家資格です。消費者庁は、消費生活相談員の職務に「他の専門家等への橋渡し」を挙げています。福祉の知識があると、相談を適切な窓口につなぐ場面で役立ちます。

消費生活アドバイザーに合格するには

第1次試験は、4分野30問を195点以上で通る

第1次試験は、4分野から30問、300点満点で、原則として195点以上が合格の基準です。4分野の合計点で判定されるため、法律だけを仕上げても、経済や生活基礎知識で点を落とすと届きません。独学でつまずきやすいのは次の2点です。

  • 範囲が広い
    消費者問題、行政・法律、経済、生活基礎知識の4分野に、医療と健康、衣服、食生活、住生活、環境・エネルギーまで含まれます。全部を同じ深さで勉強すると時間が足りなくなります
  • 似た数字や制度の取り違え
    クーリング・オフの期間が取引の種類によって8日間と20日間に分かれるなど、似た数字と制度が並びます。読んで理解しただけでは、試験で迷います

協会は、試験問題は公式テキストに準拠して出題されると案内しています。公式テキストは4冊セットで9,900円(税込、別に配送料)で、協会のオンラインショップで購入します。書店では売られていません。過去3年分の第1次・第2次の問題と第1次の正答は協会のサイトで公開されていますが、解説はありません。

出典:日本産業協会 2026年度受験要項(PDF)(2026年10月1日確認)

試験前の1〜2か月は、新しい知識を増やすより、取り違えやすい論点を絞って確実に取ることに集中するのが効率的です。

  • 数字や期間、制度の所管など、似た論点を○×で素早く判断できるか確認する
  • 迷った論点だけを、公式テキストで理由まで読み直す
  • 2時間で30問を通して解き、195点に届くかを確かめる

noteのページ「出るとこだけ○×300問(第1次試験)」は、4分野を6章・各50問に分けた○×形式の問題集で、期間や金額の取り違えを減らす用途に向いています。noteのページ「実戦模試3回分(第1次試験)」は、1問に5つの小問が付いた大問30問を1回分とし、3回分を収録した模試で、時間配分と195点の到達度を確かめる用途に向いています。どちらも、ページに問題のサンプルが2問載っています。

第2次試験は、60分の論文と10分の面接で決まる

第2次試験は、2026年度の日程では、第1次試験の合格発表(10月20日)から約6週間後の11月29日に実施されます。論文は、3テーマから1題を選び、A3の用紙に60分で800字以内にまとめます。面接は、1人10分程度の個人面接です。

論文は、知識を覚えているだけでは書けません。「何が問題か」「消費者・事業者・行政が何をすべきか」「結論は何か」を決めて、800字の中に組み立てる練習が要ります。面接は、志望動機や相談場面への対応を聞かれたあと、さらに掘り下げて聞かれたときに、話を続けられるかが問われます。第1次試験の結果を待ってから準備すると時間が限られるので、結果を待たずに、論文の練習を少しずつ始めておくと、あとが楽になります。

第1次試験に合格して第2次試験に不合格だった場合は、申請すると翌年度の第1次試験が免除されます(免除は翌年度の1回のみ)。各noteのページには、対象とする試験の年度が書かれています。受験する年度に合わせて選んでください。

消費生活アドバイザーを活かして転職を成功させる進め方

自治体の募集と企業の求人を分けて探す

自治体の消費生活相談員は、国民生活センターの「各地の相談員の募集」、日本産業協会の「人材募集情報」、各自治体のサイトで探します。募集時期は自治体ごとに違い、鹿沼市のように随時受け付ける募集もあれば、短い期間で締め切る募集もあります。

企業の相談部門の求人は、「消費生活アドバイザー」だけでなく、「お客様相談」「カスタマーケア」「CS 品質」「コンプライアンス 景品表示法」などの言葉でも探しましょう。資格名が書かれていなくても、消費者問題の知識を求めている求人があります。

応募書類では、資格と経験をつなげる

「消費生活アドバイザー 取得」と書くだけでは伝わりません。資格欄には、「消費生活アドバイザー」と「消費生活相談員資格(国家資格)」の両方を書きましょう。自治体の募集では、資格を証明する書類の写しを求められることがあるので、募集要項で必要な書類を確認します。

職務経歴書には、「お客様の声を月ごとに分類し、商品の表示を見直す提案をした」「高齢のお客様からの契約に関する相談を、関係部署へつないだ」のように、資格で学んだ知識を使った場面を書きましょう。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを1人で進めるのは、仕事をしながらだとかなり大変です。そして何より、企業の相談部門や管理部門を目指す人ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由はシンプルで、相談部門の求人は、資格が歓迎条件のどこに位置づけられているかも、仕事の中身も、求人票だけでは分かりにくいからです。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

条件を相談できる

「資格を踏まえて、月給はどの範囲になりますか」と、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。担当者が企業との間に入り、年収の交渉や確認を進めてくれます。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「お客様相談の経験を、改善提案の仕事へ広げたい」「相談対応ではなく、法務寄りの仕事がしたい」。希望を伝えると、条件に合う求人を紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあります。

入社前に職場の実情を確認できる

自社で相談に対応する部門か、委託先の統括が中心か。土日祝を含むシフト勤務か。求人票だけでは分からない点を、応募前に確認できます。

書類や面接の対策をしてもらえる

お客様対応の経験と、消費者問題の知識を、職務経歴書にどう書けば評価されるか、面接で改善提案の経験をどう話せばいいかを、アドバイスしてもらえます。

面接の日程調整を任せられる

サービスによっては、面接の日程調整や企業とのやり取りを代わりにしてくれるので、今の仕事を続けながらでも転職活動を進められます。

さらに、会員登録とキャリア相談は、どちらの公式サイトでも無料と案内されています。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • 企業の相談部門で働いてきたが、今の会社では経験も資格も評価が変わらない
  • 消費者問題の知識を、相談対応以外の仕事(法務・品質・企画)でも使いたい
  • 自治体の相談員だけでなく、企業の求人も比べたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と資格で応募できる求人はどれくらいあるのかを聞くだけでも、次の一歩がはっきりします。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
MS Agent(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(管理部門・士業) 経理・人事・法務などの管理部門と士業の求人に特化 消費者関連法の知識を、法務・総務などの管理部門で使いたい人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 公開求人が多く、カスタマーケアセンターや相談センターの求人を、業界を問わず見比べられる 企業の消費者相談・CS部門の求人を広く探したい人

迷ったら、特化型と総合型を1社ずつ、2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の経験と資格でどんな仕事に応募できるのかが、より正確に分かります。自治体の相談員だけを目指す場合は、エージェントを使わず、国民生活センターや各自治体の募集から直接応募しましょう。

よくある質問

消費生活アドバイザーに合格すれば、消費生活相談員になれますか?

消費生活相談員資格(国家資格)は取得できますが、相談員という職に就くには、自治体の募集に応募して任用される必要があります。資格は応募の条件になることが多いものの、採用を保証するものではありません。

消費生活専門相談員との違いは何ですか?

消費生活専門相談員は、国民生活センターの試験で付与される資格です。日本産業協会の消費生活アドバイザー資格試験に合格しても、専門相談員資格は付きません。どちらの試験も消費生活相談員資格試験を兼ねていて、合格すると消費生活相談員資格(国家資格)が得られます。

実務経験がなくても受験できますか?

受験資格に条件はないため、実務経験や学歴がなくても受験できます。受験要項にも、受験や登録で実務経験を求める記載はありません。ただし、企業の相談部門の求人では、実務経験を応募条件にする例があります。

独学で合格できますか?

試験は協会の公式テキストに準拠して出題され、過去3年分の問題も協会のサイトで公開されているため、独学で挑戦する人は多くいます。ただし、最終合格率は約3割です。第2次試験の論文と面接は、自分の答えを書いて見直す、声に出して答える練習が欠かせません。直前期の総仕上げには直前ノートもご活用ください。

資格の更新は必要ですか?

消費生活アドバイザー資格は、有効期間が5年で、更新には有効期間内に4単位以上の取得が必要です。更新手数料は11,000円(税込)です。一方、消費生活相談員資格(国家資格)には、登録申請や更新はありません。

消費生活アドバイザーは意味ない資格ですか?

企業の求人では、資格だけで採用が決まる例は多くありません。一方で、自治体の消費生活相談員を目指す人にとっては応募条件になり、企業の相談部門では経験を裏づける歓迎条件になります。どの仕事に使いたいかを決めてから、取るかどうかを判断しましょう。

まとめ:あなたの次の一手

消費生活アドバイザーは、消費生活相談員を目指す人にとっては応募の入口、企業の消費者対応の経験者にとっては経験を裏づける資格です。一方で、企業の求人では経験が重く見られ、資格だけで採用が決まるわけではありません。

あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。

参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。