【2026年最新版】情報処理安全確保支援士は転職に有利?求人での評価と活かせる人・活かせない人

「情報処理安全確保支援士に受かれば、セキュリティの仕事に転職しやすくなるのかな」 「合格しても登録や講習にお金がかかると聞くし、そこまでする価値があるんだろうか」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、情報処理安全確保支援士は、インフラ運用、社内SE、システム開発などでセキュリティに関わった経験がある人には、セキュリティ職への転職で強い評価材料になる資格です。脆弱性対応やインシデント対応を「現場で覚えた」だけでなく、国家試験の水準で説明できると示せるため、セキュリティエンジニアや社内の情報セキュリティ担当の求人で歓迎資格として名前が挙がります。

一方で、IT実務の経験がないまま、資格だけでセキュリティ専門職に就くのは難しいのも事実です。今回確認した民間企業の求人では、支援士は「必須」ではなく「歓迎」の扱いで、必須欄に並ぶのはネットワークやサーバ、クラウドの実務経験でした。

この記事では、IPA(情報処理推進機構)の公表情報と実際の求人をもとに、情報処理安全確保支援士が転職でどう評価されるのかを解説します。

結論:情報処理安全確保支援士は転職に有利?

結論は**「IT実務の経験と組み合わせると有利、資格単体では弱い」**です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
セキュリティ実務の経験あり
+
合格・登録済み
◎ セキュリティエンジニアや情報セキュリティ担当の求人で評価されやすい 資格手当や担当業務まで確かめて応募先を選ぶ
インフラ・開発・社内SEの経験あり
+
未取得
○ 取得すればセキュリティ職へ移る裏づけになる 2026年度前期(10〜11月)か後期(2〜3月)を目標に準備する
IT実務の経験なし
+
合格済み(または受験予定)
△ 知識の証明にはなるが、実務経験の代わりにはならない 運用・ヘルプデスクなど入口の職で経験を積む

情報処理安全確保支援士は、試験に合格しただけでは名乗れず、登録して初めて「情報処理安全確保支援士」という国家資格になります。登録には費用と3年ごとの講習がかかるため、「合格までで止めるか、登録まで進むか」も判断のポイントです。詳しくは次の章で解説します。

情報処理安全確保支援士とは?1分でわかる基本情報

情報処理安全確保支援士は、2016年10月に「情報処理の促進に関する法律」の改正で生まれた、サイバーセキュリティの国家資格です。試験はIPAが実施し、合格後に登録した人は「登録セキスペ」とも呼ばれます。

IPAは対象者像を、**「サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、また、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い、その結果に基づき必要な指導・助言を行う者」**としています。セキュリティ製品を扱う技術者だけでなく、社内規程の策定、システム調達、インシデント対応の体制づくりまでが業務として挙げられているのが特徴です。

2026年度(令和8年度)試験の概要

項目 内容
主催 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)。経済産業省の国家試験
資格の種類 合格後の登録で名乗れる国家資格(名称独占。業務独占ではない)
実施時期 前期・後期の年2回(2026年度からCBT方式)
前期の申込期間 2026年10月6日(火)10時〜10月24日(土)17時
前期の試験期間 科目A:2026年10月17日(土)〜10月27日(火)
科目B:2026年11月11日(水)〜11月23日(月)
前期の合格発表 2027年2月頃(予定)
後期の申込期間 2027年1月27日(水)〜2月27日(土)
後期の試験期間 科目A:2027年2月20日(土)〜3月2日(火)
科目B:2027年3月16日(火)〜3月28日(日)
後期の合格発表 2027年6月頃(予定)
受験手数料 7,500円(非課税)
出題形式 科目A-1:50分・30問(四肢択一)
科目A-2:40分・25問(四肢択一)
科目B:150分・記述式(4問中2問を解答)
合格基準 科目A-1・A-2・Bとも100点満点中60点以上
合格率 22.3%(2025年度秋期・受験者18,816人)
登録 登録免許税9,000円+登録手数料10,700円。3年ごとに講習を修了して更新

出典:IPA 情報処理安全確保支援士試験、IPA 2026年度の試験日程、IPA 試験要綱 Ver.5.6、IPA 登録セキスペFAQ (2026年9月30日確認) ※受験前に必ずIPAの最新の案内を確認してください。

2026年度からは紙の試験ではなく、全国の会場のパソコンで受けるCBT方式になりました。期間内の日時を自分で予約して受けます。従来の「午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後」は「科目A-1・A-2・科目B」に名前が変わりましたが、IPAは出題範囲、出題形式、問題数、試験時間に変更はないとしています。

同じ期に申し込めるのは1区分・1回だけです。一方で、ほかの高度試験の多くが前期か後期のどちらかにしか行われないのに対し、情報処理安全確保支援士試験は前期と後期の両方で受けられます。前期で届かなくても、同じ年度の後期に再挑戦できるわけです。

受験資格の制限はない

IPAの試験要綱や申込みの案内には、年齢・学歴・実務経験などの受験資格の定めがありません。学生でも、IT以外の仕事をしている人でも受験できます。

ただし、科目Bは企業のシステム構成図やログ、設定ファイルを読み、攻撃の経路や対策を記述させる問題です。ネットワークやWebアプリケーションの仕組みに触れた経験がないと、問題文の状況を思い浮かべるだけで時間がかかります。

合格率は15〜22%で推移

実施回 受験者数 合格者数 合格率
2023年度春期 12,146人 2,394人 19.7%
2024年度春期 14,342人 2,769人 19.3%
2024年度秋期 17,324人 2,615人 15.1%
2025年度春期 16,526人 3,134人 19.0%
2025年度秋期 18,816人 4,199人 22.3%

出典:IPA 各回の合格発表(2023年度春期、2024年度春期、2024年度秋期、2025年度春期、2025年度秋期)

受験者の平均年齢は34歳前後です。合格率は回によって振れますが、おおむね5人に1人前後。CBT方式の結果はまだ公表されておらず、上の表が最新の数字です。

2027年度以降も試験は続く

IPAは、ITストラテジストやネットワークスペシャリストなど高度試験8区分を2026年度で終了し、新しい試験に再編する予定を発表しています。情報処理安全確保支援士試験はこの再編の対象外で、2027年度以降も一部の内容を変えて続けられる予定です。

公表されている変更は、試験時間の短縮(科目A-1が45分、A-2が35分、科目Bが120分)、科目Bの出題形式の変更、マネジメント分野の強化などです。新しい出題形式の詳細は、IPAが順次公表するとしています。すでに合格した人の資格が無効になることはありません。

出典:IPA 試験制度の見直しについて(2026年9月30日確認)

転職で情報処理安全確保支援士が評価される理由

セキュリティ職の求人で歓迎資格として名前が挙がる

リクルートエージェントや企業の採用ページで2026年9月30日に確認した求人では、次のように情報処理安全確保支援士が歓迎資格に入っていました。

  • 日立製作所のセキュリティエンジニア:「情報処理安全確保支援士や高度安全情報処理資格、或いは、AzureやAWSの認定資格」を歓迎
  • キオクシアの社内SE(情報セキュリティ):「CISSP、CEH、情報処理安全確保支援士、IPA高度試験合格など」を歓迎
  • ANAシステムズのセキュリティコーディネーター:「情報処理安全確保支援士、CISSP等」を歓迎
  • クレスコのセキュリティ領域のリーダー(SOC・CSIRT、SIEM導入):尚可要件に記載
  • NRIセキュアテクノロジーズのセキュリティコンサルタント:歓迎するスキルに「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)資格」

どの求人も、支援士は必須ではありませんでした。必須欄にあるのは「ネットワーク・サーバ基盤の知見」「セキュリティ担当の経験5年以上」といった実務経験です。つまり、実務経験で応募条件を満たしたうえで、他の候補者と差をつける材料という位置づけです。今回確認したANAシステムズとキオクシアの求人では、CISSP(国際的なセキュリティ資格)と並んで歓迎資格に挙げられていました。

資格手当・合格祝い金の対象になる会社がある

IT企業の中には、情報処理安全確保支援士を資格手当の対象にしている会社があります。採用ページで金額を確認できた例は次のとおりです。

会社 支給内容
コガソフトウェア 資格手当 月20,000円+合格祝い金9,000円(応用情報技術者は月13,000円)
トレンドアート 月20,000円(合格後2年間)
オリエンタルインフォーメイションサービス 月15,000円(毎月支給、最大2年間)

出典:コガソフトウェア 資格取得支援、トレンドアート(Wantedly、2025年2月17日掲載)、オリエンタルインフォーメイションサービス よくある質問(2026年9月30日確認)

月2万円なら年24万円です。ただし、支給期間を2年に限る会社があるほか、どの会社も「合格だけでよいのか、登録まで必要か」をページに書いていません。登録の維持には費用がかかるので、応募前に支給条件を確認しておきましょう。

警察のサイバー職では受験資格になっている

公務員の採用では、合格そのものが応募条件になる例があります。警察庁の情報処理技術者選考採用(警察庁サイバー採用・地方機関採用)は、受験資格を「情報処理安全確保支援士試験、情報処理技術者試験(高度試験又は応用情報技術者試験)のいずれかの合格者等」としています。

出典:警察庁 サイバー・デジタル採用(2026年9月30日確認。募集時期は年度ごとに確認してください)

また、IPAが掲載している企業インタビューでは、セキュリティ企業が「官公庁の入札参加時に登録セキスペの配置が要件として含まれることも多く、案件獲得にも役立っている」と話しています。官公庁向けの案件を持つ会社にとっては、登録者が社内にいること自体に価値があるわけです。

出典:IPA 登録セキスペ ビジネス活用事例

企業が期待しているのは「技術と管理の両方がわかる人」

IPAが示す業務と役割は、情報セキュリティ規程の策定とリスクアセスメント、システム調達・開発へのセキュリティの組み込み、暗号・マルウェア対策・脆弱性対応の適用、インシデント対応の体制づくりの4つです。

ファイアウォールの設定ができる人、社内規程を書ける人は、それぞれ社内にいることが多いものです。しかし、攻撃の手口を理解したうえで、どんな規程や手順にすれば防げるかまで説明できる人は多くありません。セキュリティコーディネーターや社内の情報セキュリティ担当の求人が支援士を歓迎するのは、この両面を試験で問われているからです。

情報処理安全確保支援士が転職で有利にならないケース

ここまで読むと心強い資格に見えますが、有利にならないケースも正直にお伝えします。

(1)IT実務の経験がない場合

今回確認した民間企業の求人は、どれも必須条件にインフラ構築・運用やセキュリティ担当の実務経験を置いていました。業務独占資格ではないため、「支援士でないとできない仕事」があるわけでもありません。資格は知識の裏づけにはなりますが、ログを読んで調査した経験や、障害・インシデントの現場で動いた経験の代わりにはなりません。

(2)登録せずに「情報処理安全確保支援士」と書く場合

合格しただけでは、「情報処理安全確保支援士」という名称は使えません。登録していない人がこの名称を使うと、法律上30万円以下の罰金の対象です。登録していない場合、履歴書には「情報処理安全確保支援士試験 合格」と書きましょう。

登録には期限がないので、合格してから転職先が決まったあとに登録する、という順番でも構いません。登録日は年2回(4月1日・10月1日)で、申請の締め切りはそれぞれ2月15日・8月15日です。

(3)更新の費用と手間に見合う使い道がない場合

登録すると、3年ごとの更新までに、オンライン講習を毎年1回(計3回)と実践講習を1回修了する必要があります。オンライン講習は1回2万円、実践講習の費用は講習によって異なります。つまり、登録を続けるには3年で少なくとも6万円の講習費がかかります。

会社が費用を負担してくれない、手当も付かない、官公庁案件にも関わらない、という状況なら、登録せず「合格」として経歴に書くほうが合理的な場合もあります。

出典:IPA 登録セキスペFAQ、IPA 登録の手続き(2026年9月30日確認)

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。実務経験とセットで見せ、登録するかどうかを行き先に合わせて決めれば、他の応募者との差になる資格だということです。次の章で、タイプ別の活かし方を見ていきます。

【タイプ別】あなたの場合、情報処理安全確保支援士は武器になる?

セキュリティ実務の経験者は、専門性を客観的に示せる

もっとも有利になるのがこのタイプです。SOCでのアラート監視、CSIRTでのインシデント対応、脆弱性診断、セキュリティ製品の導入などを担当してきた人は、経験を資格が裏づける形になります。

評価されやすいポイントは次のとおりです。

  • 攻撃の手口と対策を、技術と規程の両面から説明できる
  • 事業会社の社内SE(情報セキュリティ)やセキュリティコーディネーターなど、ベンダーから事業会社へ移る道が広がる
  • 官公庁向けの案件を持つ会社では、登録者として配置要員に数えられる
  • 資格手当の対象になる会社がある

今の会社では資格を取っても担当業務や年収が変わらない場合、資格とセキュリティの経験を評価してくれる会社に移るのも選択肢です。

同じ「セキュリティエンジニア」でも、診断中心なのか、SOCの運用なのか、社内の規程づくりまで任されるのかは、求人票だけでは見分けにくいものです。セキュリティ分野に特化した転職エージェントなら、担当範囲や登録・講習費用の会社負担の有無まで確認してから応募できます。

インフラ・開発・社内SEの経験者は、セキュリティ職へ移る足がかりになる

サーバやネットワークの構築・運用、Webアプリケーションの開発、社内システムの管理を経験してきた人は、試験の科目Bで扱う題材に日常的に触れています。ファイアウォールのルール、認証の仕組み、ログの見方が「仕事で使ったもの」として頭に入っているので、学習の負担も比較的軽くなります。

このタイプの人が支援士を取ると、「インフラもわかるセキュリティ担当」「開発もわかるセキュリティ担当」として応募できるようになります。日立製作所の求人がネットワーク・サーバ基盤やクラウドのセキュリティの知見を必須に置いていたように、セキュリティ職の多くは土台となるIT経験を求めています。その土台がすでにある人にとって、支援士は職種を移るための「最後の一押し」になります。

まだ持っていない人は、2026年度前期(申込は10月6日〜24日)か後期(申込は2027年1月27日〜2月27日)を目標に準備を始めましょう。

IT実務の経験がないなら、資格だけでは採用の決め手になりにくい

合格していても、IT実務の経験がなければ、資格だけでセキュリティ専門職の経験者と同じ評価を得るのは難しいでしょう。今回確認した民間企業の求人では、実務経験が必須条件に入っていたためです。

例外は、警察庁のサイバー職のように、合格そのものが受験資格になっている公務員の採用です。IT実務の経験がない人でも、合格を足がかりに応募できる道の一つなので、募集要項を確認してみる価値があります。

民間企業を目指すなら、運用監視、ヘルプデスク、インフラの運用保守など、未経験者を受け入れている職種で実務を積むのが近道です。そのうえで、試験で学んだ知識を、応募先のどの業務に活かしたいかを具体的に伝えることが大切です。

情報処理安全確保支援士を活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 年収の目安(求人記載)
セキュリティエンジニア(SIer) セキュリティ対策の提案・構築・運用 ○ 歓迎資格。基盤・クラウドの経験と組み合わせて評価 想定年収530万〜800万円(日立製作所・東京都港区)
社内SE(情報セキュリティ) 事業会社のセキュリティ対策・規程・インシデント対応 ◎ 技術と管理の両面を示せる 想定年収550万〜1,260万円(キオクシア・東京都港区)
セキュリティコーディネーター グループ会社のIT・セキュリティ施策の調整 ◎ 規程策定・リスク評価の知識と直結 想定年収540万〜940万円(ANAシステムズ・東京都大田区、関連経験5年以上)
SOC・CSIRT アラート監視、インシデントの調査・対応 ○ 攻撃の理解の裏づけ 求人により幅がある
セキュリティコンサルタント リスク評価、対策の立案、診断 ◎ 登録セキスペとして顧客に示せる 求人により幅がある

出典:日立製作所の求人、キオクシアの求人、ANAシステムズの求人(いずれもリクルートエージェント、2026年9月30日確認)。年収は会社・地域・経験で大きく変わります。

参考までに、dodaの平均年収調査(2024年9月〜2025年8月)では、「セキュリティエンジニア(脆弱性診断/ネットワークセキュリティ)」の平均年収は497万円(20代424万円、30代544万円)です。上の求人の年収は、いずれも数年以上の実務経験を前提にした金額と考えてください。

出典:doda 平均年収ランキング(職種別)(技術系(IT/通信)の表、2026年9月30日確認)

あわせて取得すると強い資格

ネットワークスペシャリスト試験

同じIPAの高度試験で、ネットワークの設計・構築を深く問われます。支援士の科目Bでもネットワーク構成やファイアウォールの設定を読む力が必要なので、学習内容の重なりが大きい組み合わせです。インフラ系のセキュリティ職に応募する際、「ネットワークを設計でき、その守り方もわかる」と説明する材料になります。現行の区分として受けられるのは2026年度前期が最後の予定です。

CISSP

ISC2が認定する国際的なセキュリティ資格です。今回確認したANAシステムズやキオクシアの求人でも、支援士と並べて歓迎資格に挙げられていました。支援士が国内の法律や制度に沿った知識を示すのに対し、CISSPは海外でも通じる共通の物差しになります。外資系企業やグローバル企業の求人に応募するときは、2つを組み合わせると説明しやすくなります。

AWSやAzureの認定資格

日立製作所の求人では、支援士と並んでAzureやAWSの認定資格が歓迎されていました。システムの置き場所がクラウドに移るなかで、クラウド特有の設定ミスや権限管理まで見られる人は重宝されます。支援士で身につけた考え方を、実際のクラウド環境に当てはめられることを示せます。

情報処理安全確保支援士試験に最短で合格するには

科目Aは過去問の反復、科目Bは「読んで書く」練習で対策する

IPAのサイトでは、2025年度までの過去問題と解答例、採点講評が公開されています。科目A(旧午前)は公開された過去問で出題形式を確認し、知識を繰り返し確かめられます。応用情報技術者試験に合格している人や、高度試験で科目A-1の基準点を取った人は、その後2年間、科目A-1の免除を申請できます。

独学でつまずきやすいのは次の3点です。

  • 科目Bの問題文が長い
    150分で2問を解きますが、1問ごとにシステム構成図、通信の流れ、ログ、社内の手順書が並びます。読むのに時間を取られ、答案を書く時間が足りなくなりがちです
  • 字数指定のある記述で点を落とす
    「〇〇字以内で答えよ」という字数指定の設問が出るため、知識があっても要点を字数内にまとめられないと得点になりません。解答例と自分の答案を並べ、どの言葉が入れば正解扱いになるかを確かめる練習が必要です
  • 出題分野が広い
    Webアプリケーションの脆弱性、ネットワーク、認証と暗号、インシデント対応とログ分析、セキュリティ管理など、仕事で触れていない分野も出題されます。得意分野だけで2問を選べるとは限りません

直前期は頻出論点と記述の型を重点的に仕上げる

試験前の1〜2か月は、新しい知識を増やすより「よく出るところを確実に取る」ことに集中するのが効率的です。

  • 科目Aは、○×で素早く判断できるかを確認し、迷う論点だけを深掘りする
  • 科目Bは、過去問の採点講評で「正答率が低かった設問」と「その理由」を読み、同じ失点を避ける
  • 記述は、字数指定に合わせて「何が・どうなるから・どう対策する」を書く練習を、時間を計って行う
  • CBTでは画面上の問題文を読むことになるので、長文を画面で読む練習もしておく

復習では、正解したかだけでなく「なぜその対策で防げるのか」を説明できるかまで確認しましょう。

科目Aの知識確認には○×形式の問題集、科目Bの記述対策には字数指定つきの記述問題集と、用途に合わせて教材を選べます。科目Aの○×300問は科目A-1を80問・A-2を220問、科目Bの記述式36問はWeb・ネットワーク・認証と暗号・インシデント対応など6分野から出題しており、どちらも無料のサンプル問題でつくりを確かめてから選べます。

情報処理安全確保支援士を活かして転職を成功させる進め方

資格が評価される求人を探す

求人検索では「情報処理安全確保支援士」だけでなく、「セキュリティエンジニア」「情報セキュリティ 社内SE」「CSIRT」「SOC」「セキュリティコンサルタント」などの言葉でも探してみましょう。今回確認した求人の中には、支援士を歓迎欄に「CISSP」や「IPA高度試験」と並べて記載したものがあります。職種名でも探すと、比較する求人を広げられます。

官公庁向けのシステムを扱う会社を狙う場合は、「官公庁」「公共」といった言葉を組み合わせると、登録者が評価されやすい求人に絞り込めます。

職務経歴書で資格と経験をつなげる

「情報処理安全確保支援士 登録」と書くだけでは伝わりません。資格で学んだ知識を、実際に使った場面と一緒に書きましょう。

たとえば次のような書き方です。

  • 「社内の脆弱性情報を毎週確認し、影響のあるサーバ30台のパッチ適用計画を立てて、運用部門と調整した」
  • 「不審な通信のアラートを受けてプロキシのログを調査し、感染端末の特定から隔離までの手順を社内向けにまとめた」
  • 「新しいクラウドサービスの導入時に、アクセス権限と認証方式のチェックリストを作り、調達の審査項目に加えた」

登録している場合は、登録番号を控えておくと、応募先から確認を求められたときにすぐ答えられます。合格のみの場合は「情報処理安全確保支援士試験 合格(2025年10月)」のように書きましょう。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを1人で進めるのは、仕事をしながらだとかなり大変です。そして何より、情報処理安全確保支援士を持っている人ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由はシンプルで、同じ「セキュリティ」の求人でも担当範囲や資格の扱いがまったく違い、求人票だけでは自分の経験が活きる職場か判断しにくいからです。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

年収や資格手当の条件を相談できる

「資格手当は付きますか」「登録の維持にかかる講習費は会社が出してくれますか」と、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントは企業との間に入り、あなたの代わりに条件を確認・交渉してくれます。

「インシデント対応の経験があり、支援士に登録している」という強みを、応募先の業務と結びつけて伝える相談ができます。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「診断よりも社内の規程づくりに関わりたい」「ベンダーから事業会社に移りたい」「夜間のシフト勤務から離れたい」。希望を伝えるだけで、条件に合う求人を選んで紹介してくれます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあり、自分で探すだけでは出会えない選択肢が増えます。

入社前に職場の実情を確認できる

セキュリティ専任のチームが何人いるのか、SOCの夜間シフトはあるのか、インシデント発生時の呼び出しはどれくらいか、入社後に規程や調達の仕事まで任せてもらえるのか。入社してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に確認できます。

書類や面接の対策をしてもらえる

支援士の知識を職務経歴書にどう書けば評価されるか、面接で過去に対応したインシデントをどこまで話してよいかを、業界を知る担当者がアドバイスしてくれます。登録セキスペには守秘義務があるので、具体的な事例を伏せながら経験を伝える工夫は、特に相談する価値があります。

面接の日程調整を任せられる

面接の日程調整や企業とのやり取りを代わりにしてくれるので、障害やインシデントの対応で予定が読みにくい仕事を続けながらでも、スムーズに転職活動ができます。

さらに、ここで紹介するサービスは無料で利用できます。エージェントは採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みなので、求職者がお金を払うことはありません。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • 支援士に合格・登録したのに、今の会社では担当業務も評価も変わらない
  • 講習費を自己負担しながら登録を続けるか迷っている
  • ベンダーから事業会社のセキュリティ担当に移りたい
  • インフラや開発の経験を活かしてセキュリティ職に移りたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と資格ならどれくらいの年収の求人があるのか質問し、答えてもらうだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
コトラ セキュリティ転職サイト(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(セキュリティ) セキュリティ領域に特化。セキュリティコンサルタント、セキュリティエンジニア、システム監査などの求人を扱う セキュリティ実務の経験者、コンサル職を考えている人
レバテックキャリア(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(IT・Web) ITエンジニアの求人に特化。セキュリティエンジニアの求人も扱う インフラ・開発の経験を活かしてセキュリティ職へ移りたい人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 公開求人約80万件・非公開求人約29万件(2026年8月30日時点)と求人数が多く、幅広く比較できる 事業会社の社内SEなど、業界を決めきれていない人

迷ったら、特化型と総合型を1社ずつ、2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の市場価値がより正確にわかります。

よくある質問

情報処理安全確保支援士は意味ない資格ですか?

IT以外の仕事への転職では評価されにくいですが、セキュリティエンジニアや社内の情報セキュリティ担当の求人では、歓迎資格として名前が挙がり、資格手当の対象にしている会社もあります。警察庁のサイバー職のように、合格が受験資格になる採用もあります。IT実務の経験とセットで見せることで意味のある資格です。

合格したら登録したほうがいいですか?

「情報処理安全確保支援士」と名乗るには登録が必要です。ただし登録には期限がないので、手当の条件や官公庁案件の有無など、転職先で登録が役立つかを確かめてから登録しても遅くありません。登録を続けるには3年ごとに講習の修了が必要で、オンライン講習だけで3年間に6万円かかります。

未経験でも受験できますか?

受験資格の制限はないので、誰でも受験できます。ただし科目Bはネットワーク構成図やログを読んで記述する問題なので、IT実務の経験がない人は、まず応用情報技術者試験などで基礎を固めると取り組みやすくなります。応用情報技術者試験に合格すると、その後2年間は科目A-1の免除を申請できます。

独学で合格できますか?

過去問題と解答例、採点講評がIPAのサイトで公開されているため、独学でも合格は可能です。科目Bは字数指定のある記述が出るので、解答例と自分の答案を比べる練習が欠かせません。直前期の知識の総点検には直前ノートもご活用ください。

試験制度が変わるなら、今受けても意味がありませんか?

情報処理安全確保支援士試験は、2027年度以降も続く予定です。試験時間や科目Bの出題形式は変わる予定ですが、すでに合格した人の資格が無効になることはありません。2026年度は前期と後期の2回受けられます。

まとめ:あなたの次の一手

情報処理安全確保支援士は、インフラ・開発・セキュリティの実務経験がある人にとって、転職で「攻撃の手口と守り方の両方がわかる人材」だと示せる資格です。求人では歓迎資格として扱われ、資格手当の対象にする会社や、合格を受験資格にする警察のサイバー職もあります。一方で、業務独占資格ではないため、資格単体で採用が決まるわけではありません。

登録するかどうかも、行き先で決めて構いません。手当や官公庁案件で登録が活きる職場なら登録し、そうでなければ「合格」として経歴に書く、という選び方もできます。

あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。

参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。