第一種高圧ガス販売主任者は転職に有利?第二種との違いと求人での評価

「第一種高圧ガス販売主任者を取れば、ガスを扱う会社への転職で有利になるのかな」 「第二種との違いがよくわからない。自分が取るのはどちらなんだろう」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、第一種高圧ガス販売主任者は、酸素・水素・アセチレン・アンモニア・塩素など、LPガス以外の高圧ガスを売る販売所で、販売主任者として選任される条件になる国家資格です。産業ガスや溶接材料の商社で、営業・配送・保安の仕事に就く人には、求人で歓迎されたり、会社が取得費用を出してくれたりします。

一方で、LPガスは扱えません。一般家庭向けのLPガス販売店の求人で求められるのは、第二種です。また、免状を取っただけで選任されるわけではなく、対象のガスの製造または販売に6か月以上の経験が要ります。

この記事では、高圧ガス保安協会(KHK)の公表資料、高圧ガス保安法と一般高圧ガス保安規則、実際の求人をもとに、第一種で扱えるガスと、転職での評価を解説します。

結論:第一種高圧ガス販売主任者は転職に有利?

結論は**「産業ガスを売る現場の経験と組み合わせると有利。資格だけでは、販売主任者にすぐには選任されない」**です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
産業ガス・溶接材料・ガス販売店の営業や配送の経験あり
+
第一種あり
◎ 販売主任者に選任できる条件を満たしやすく、「歓迎」の求人に応募しやすい 資格を評価し、手当を付ける会社を探す
同じ経験あり
+
資格なし
○ 取得すれば、経験に免状の裏づけが加わる 試験か講習のどちらで取るかを決める
工場の設備・物流など、近い仕事の経験あり
+
第一種あり(または取得予定)
○ ガスを扱う会社へ移るときの強みになる 応募先で、資格がどの業務に使われるかを確かめる
ガスの仕事は未経験
+
第一種あり(または取得予定)
△ 知識の証明にはなるが、選任には6か月以上の経験が必要 未経験歓迎の営業・配送で経験を作る

受験そのものに、年齢・学歴・経験の条件はありません。誰でも受けられます。条件が付くのは、免状を取ったあとに販売主任者へ選任されるときです。詳しくは次の章で解説します。

第一種高圧ガス販売主任者とは?1分でわかる基本情報

第一種高圧ガス販売主任者は、高圧ガス保安法に基づく販売主任者免状の1つです。一定の高圧ガスを売る販売業者は、販売所ごとに販売主任者を選んで、販売に係る保安の業務を管理させなければなりません。この販売主任者になるために必要な免状です。

KHKは、この免状を「LPガス以外の高圧ガスの販売事業所において、高圧ガスの販売に係る保安の実務を含む統括的な業務を行う方に必要な資格」と説明しています。試験は、都道府県知事の免状に係る試験(知事試験)として、KHKが毎年11月に全国一斉に実施しています。

2026年度(令和8年度)試験の概要

項目 内容
主催 高圧ガス保安協会(KHK)。都道府県から試験事務の委託を受けて実施
資格の種類 国家資格(高圧ガス保安法の販売主任者免状。知事試験)
受験資格 年齢・学歴・性別・経験に関係なく、誰でも受験できる
申込期間 電子申請:2026年8月17日(月)10時〜9月2日(水)17時/書面申請:8月17日〜8月31日
試験日 2026年11月8日(日)
試験科目 法令(択一式20問・9時30分〜10時30分の60分)、保安管理技術(択一式20問・11時10分〜12時40分の90分)
合格基準 各科目とも満点の60%程度
受験手数料 電子申請8,500円、書面申請9,000円(非課税)
試験問題・正解答番号の公表 2026年11月9日(月)15時(予定)。KHKのホームページ
合格発表 合格者番号の公表:2026年12月18日(金)、合否通知書の発送:2027年1月5日(火)
免状 合格後に免状交付申請が必要(手数料がかかる)
次回(令和9年度) 日程・申込期間は未公表(2026年10月3日時点)。KHKは「毎年11月に全国一斉に実施」と案内している

出典:令和8年度 高圧ガス販売主任者試験のご案内(チラシ)|KHK、令和8年度 受験案内書(電子申請用)|KHK、免状交付申請について|KHK (2026年10月3日確認) ※受験前に必ずKHKの最新の受験案内を確認してください。

法令は、高圧ガス保安法などの決まりを問う科目です。保安管理技術は、ガスの性質や、容器・設備の扱いなど、保安の技術を問う科目です。

令和8年度の受付は、2026年9月2日までです。次回の日程は未公表ですが、試験は毎年11月と案内されているので、勉強はいま始めて問題ありません。

合格率は、全科目受験で25〜33%。講習で免除を受けた人は55〜67%

KHKが公表している知事試験の結果は、次のとおりです。

年度 区分 受験者数 合格者数 合格率
2025年度 全科目受験 2,630人 879人 33.4%
2025年度 保安管理技術免除 797人 536人 67.3%
2025年度 全体(法令免除・全科目免除を含む) 3,498人 1,482人 42.4%
2024年度 全科目受験 2,402人 608人 25.3%
2024年度 保安管理技術免除 491人 274人 55.8%
2024年度 全体(法令免除・全科目免除を含む) 2,959人 939人 31.7%

出典:令和7年度 知事試験結果(KHK)、令和6年度 知事試験結果(KHK)の「第一種販売」の行 (2026年10月3日確認)

「全科目受験」は、法令と保安管理技術の両方を受けた人です。「保安管理技術免除」は、講習を受けて検定に合格し、保安管理技術が免除になった人(法令だけ受験)です。どちらの数字かで見え方が大きく変わるので、自分が受ける形の数字で考えてください。

同じ年の第二種の全科目受験は、2025年度が40.0%、2024年度が35.2%でした。第一種のほうが、全科目受験では合格率が低めです。

第一種と第二種はどこが違う?扱えるガスと選任される仕事

第一種はLPガス以外、第二種はLPガス

KHKの案内では、第一種はLPガス以外の高圧ガスの販売、第二種はLPガスの販売を対象としています。どちらも、販売事業所で保安の実務を含む統括的な業務を行う人に必要な資格です。

第一種販売主任者 第二種販売主任者
対象のガス LPガス以外の高圧ガス LPガス
選任される役割 販売主任者(LPガス以外のガス)、取扱主任者(LPガス以外のガス) 工業用LPガスの販売主任者(高圧ガス保安法)、一般家庭向けLPガス販売所の業務主任者・業務主任者の代理者(液化石油ガス法)
試験の法令 高圧ガス保安法に係る法令 高圧ガス保安法と液化石油ガス法に係る法令
試験の保安管理技術 LPガスを除く高圧ガスの販売に必要な通常の保安管理の技術 LPガスの販売に必要な通常の保安管理の技術
受験手数料(電子/書面) 8,500円/9,000円 6,700円/7,200円
講習の開催 年1回(6月頃に開催予定) 年2回(2月頃と6月頃に開催予定)

出典:国家資格の概要及び職務範囲|KHK、高圧ガス販売主任者講習|KHK、受験案内書(上記) (2026年10月3日確認)

KHKの職務範囲の表では、第一種の免状でLPガスの販売主任者に選任することも、液化石油ガス法の業務主任者になることもできません。「LPガスの販売店で働きたい」なら第二種、「産業ガスの会社で働きたい」なら第一種、と売るガスで決まります。

選任が必要なガスは、法令で決まっている

販売主任者の選任が必要になる高圧ガスは、一般高圧ガス保安規則の第72条第1項に書かれています。第一種の免状で販売主任者を務められるのは、この一覧のガスです。

  • アセチレン、アルシン、アンモニア、塩素、クロルメチル
  • 五フッ化ヒ素、五フッ化リン、三フッ化窒素、三フッ化ホウ素、三フッ化リン、四フッ化硫黄、四フッ化ケイ素
  • 酸素(スクーバダイビング用の呼吸ガスで、酸素が全容量の40%未満のものを除く)
  • シアン化水素、ジシラン、ジボラン、セレン化水素、ホスフィン、モノゲルマン、モノシラン
  • 水素、メタン

一覧に載っていないガス、たとえば窒素・アルゴン・炭酸ガスだけを売る販売所には、この規則上の販売主任者の選任義務はありません。また、水素のうち、車両の燃料装置に充てんする圧縮水素は、販売の保安を管理する体制が整った水素スタンドで売るものに限って、一覧から除かれています。

出典:一般高圧ガス保安規則 第72条|e-Gov法令検索、高圧ガス販売主任者講習|KHK (2026年10月3日確認)

免状に加えて、6か月以上の経験が必要

免状を持っていても、すぐに販売主任者になれるわけではありません。同じ規則の第72条第2項は、販売主任者に選ぶ人を、次のように定めています。

  • 甲種化学・乙種化学・甲種機械・乙種機械・第一種販売主任者のいずれかの免状を持っている
  • 販売所の区分ごとに決められたガスのうち、1種類以上について、その製造または販売に6か月以上の経験がある

たとえば酸素の販売所なら、酸素の製造または販売の経験です。アセチレン・水素・メタンの販売所なら、アセチレンや水素に加えて、エタン、エチレンなど決められたガスの経験も数えられます。

ここで押さえておきたいのが、製造保安責任者の乙種化学や乙種機械などの免状でも、販売主任者に選任できる点です。すでに乙種化学を持っている人が、販売主任者になるためだけに第一種を取り直す必要はありません。反対に、第一種は、製造の保安係員や保安主任者には選任できません(KHKの職務範囲の表で、いずれも×)。

工場などで使う側の「取扱主任者」にも選任できる

第一種の免状は、販売業者だけのものではありません。圧縮モノシランや液化酸素など、政令で決められた特定高圧ガスを一定量以上使う事業所は、取扱主任者を選任しなければなりません。一般高圧ガス保安規則の第73条は、選任できる人の1つに「第一種販売主任者免状の交付を受けている者」を挙げています(この号には、経験年数の条件はありません)。KHKの表でも、取扱主任者は○です(LPガス以外のガスに限る)。

転職で第一種高圧ガス販売主任者が評価される理由

販売所ごとに販売主任者を置く義務があり、免状がないと務まらない

高圧ガス保安法は、一覧のガスを売る販売業者に、販売所ごとの販売主任者の選任を義務づけています。販売主任者は、高圧ガスの販売に係る保安の業務を管理する立場です。対象のガスを売る販売所には、条件を満たす人が必ず1人は要ります。だから、産業ガスや溶接材料を扱う会社にとって、免状を持つ人は欠かせない人材です。

出典:高圧ガス保安法 第28条・第32条|e-Gov法令検索 (2026年10月3日確認)

求人では「歓迎」「会社負担で取得」「取得すれば手当」の形で書かれる

マイナビ転職で「高圧ガス販売主任者」を検索すると、58件の求人が出ました(2026年10月3日。キーワードを含むだけの求人も混ざります)。確認できた求人の書かれ方は、次の3つが中心です。

  • 歓迎条件に書く
    産業用ガスのルート営業(宮城県)で、必須は高卒以上と普通自動車免許、歓迎が「高圧ガス販売主任者(第1種)の資格をお持ちの方」です。月給は20万〜30万円で、賞与は過去実績で4.50か月分です。
  • 会社が費用を負担して取らせる
    工業用ガス(酸素・窒素・炭酸ガスなど)のルート営業で、未経験OK。「高圧ガス販売主任者(第一種・第二種)」を、入社後に会社の費用サポートを受けて取得できます。溶接機器・工業用ガスの商社(大阪府)の営業では、「高圧ガス販売主任者免状一種・二種」など国家資格の取得費用を、全額会社が補助すると書かれています。
  • 取得すれば手当が出る
    産業用ガスなどの専門商社(愛知県)のルート営業で、第一種高圧ガス販売主任者などを会社の支援で取得でき、資格を取れば月2万円の資格手当を手にすることもできる、と書かれています。

「必須」としている求人は、確認できた範囲では、LPガス会社の第二種が多くなっていました。たとえば福岡県のLPガス保守・管理の求人は、必須が「高圧ガス販売主任者(2種)」などの資格のいずれかで、資格手当は第二種と液化石油ガス設備士の両方を持つ人に月1万円です。産業ガス側の第一種は、「歓迎」か「入社後に取る」前提の書き方が目立ちました。

つまり、第一種は採用の条件ではなく、採用を後押しする材料、あるいは入社後に会社と一緒に取る資格という位置づけです。

出典:エア・ウォーター東日本の求人(マイナビ転職)、ウエキコーポレーションの求人(マイナビ転職)、日本通酸の求人(マイナビ転職)、山内酸器の求人(エンゲージ)、シノケングループの求人(マイナビ転職)、「高圧ガス販売主任者」の検索結果(マイナビ転職) (2026年10月3日確認。掲載は終了することがあります)

資格手当は、月3,000円から2万円までの例がある

第一種を対象にした手当で、金額が書かれていた求人は、確認できた範囲では次の2つでした。

  • 産業用ガスのルート営業(愛知県):第一種高圧ガス販売主任者などを取得すると、月2万円の資格手当を手にすることもできます。ただし、ページの会社情報の最終更新日は2024年9月なので、現在の条件は応募前に確認してください
  • 医療機器を扱う会社の倉庫管理(宮崎県、パート):「高圧ガス販売主任者第一種」で月3,000円。週の所定労働時間が20時間未満の場合は、半額です

金額が書かれていない求人もあります。工業用ガスの営業(未経験OK)は「資格によっては合格後に報奨金や資格手当の支給もあります」とだけ書かれ、金額はありません。医療機器メーカーの工場長候補(埼玉県、月給31万〜38万円)は、資格手当と資格取得支援の対象に「第一種高圧ガス販売主任者」を挙げています。ガス販売以外の業種にも、この資格を手当の対象にする会社があります。

出典:山内酸器の求人(エンゲージ)、フクダライフテック南九州の求人(エンゲージ)、ウエキコーポレーションの求人(マイナビ転職)、Sanko Medicalの求人(マイナビ転職) (2026年10月3日確認。手当額は会社により異なります)

第一種高圧ガス販売主任者が転職で有利にならないケース

ここまで読むと心強い資格に見えますが、有利にならないケースも正直にお伝えします。

(1)LPガスの会社へ転職する場合

一般家庭向けのLPガス販売店には、液化石油ガス法の業務主任者(またはその代理者)が置かれます。この役割に選任されるには第二種が必要で、第一種では務まりません。LPガス会社の求人で資格名が「必須」に書かれているのは、第二種が多くなります。LPガスの会社を考えているなら、第一種ではなく第二種を選んでください。

(2)資格だけで、ガスの製造・販売の経験がない場合

販売主任者に選任されるには、対象のガスの製造または販売に6か月以上の経験が必要です。免状だけでは、選任の条件を満たしません。ただ、未経験歓迎の求人は産業ガス側にもあるので、資格がなくても入口はあります。応募先でガスの営業や配送の経験を積めば、選任の条件になる経験を作っていけます。何が「販売の経験」に数えられるかは仕事の内容で変わるので、応募先に確認してください。

(3)ガスをつくる工場の保安を目指す場合

化学プラントや石油精製などで、ガスをつくる設備の保安係員・保安主任者を目指すなら、第一種では選任されません。必要なのは、乙種化学・乙種機械など製造保安責任者の免状です。第一種で働けるのは、ガスを売る販売所と、ガスを使う事業所の取扱主任者までです。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。ガスを売る仕事の経験とセットで見せれば、他の応募者との差になる資格です。次の章で、タイプ別の活かし方を見ていきます。

【タイプ別】あなたの場合、第一種高圧ガス販売主任者は武器になる?

産業ガス・溶接材料の営業や配送の経験者は、免状がそのまま任せられる範囲になる

もっとも有利になるのがこのタイプです。ガスや溶接材料を売る仕事を6か月以上していれば、販売主任者に選任される経験の条件は、すでに満たしている可能性があります。営業や納品の仕事が「販売の経験」に数えられるかは仕事の内容で変わるので、応募先に確認してください。免状があれば、その経験に法律上の裏づけが加わります。

評価されやすいポイントは次のとおりです。

  • 販売所に置かなければならない販売主任者として、任せられる
  • 納品先に、ガスの保安上の注意を説明できる
  • 資格手当や、取得費用の補助の対象になることがある

職務経歴書には、資格名だけでなく、どのガスを、どのくらいの期間、扱ったかまで書いておくと伝わります。選任の条件は、ガスの種類ごとの経験で決まるからです。

工場の設備や物流など、近い仕事の経験者は、ガス設備に強い技術職へ移るときの強みになる

工場の設備保全や生産技術、品質保証の仕事をしている人が、高圧ガスの保安の知識を持っていると、ガスを使う設備の管理を任せやすくなります。特定高圧ガスを一定量以上使う事業所では、取扱主任者の選任が義務で、第一種の免状はその条件の1つです。

ただし、取扱主任者の選任を条件に書いた求人は、今回の調べでは見つかりませんでした。免状がどの業務で評価されるかは、応募先の募集要項で確かめてください。

ガス設備のある工場でどんな保安の仕事を任せてもらえるのかは、求人票だけでは読み取りにくいものです。製造業の技術職に詳しい担当者なら、設備保全や生産技術の募集で、免状がどこまで評価されるかまで確認してから応募できます。

ガスの仕事が未経験なら、資格がなくても入れる。免状は入社後でも間に合う

未経験歓迎の産業ガスの営業には、資格を条件にしていない求人があります。先ほどの求人のように、取得費用を会社が出す例もあります。自分で受験料を払って先に取るより、会社の支援を受けて取るほうが、負担は軽くなります。

一方で、「歓迎」に免状が書かれた求人もあります。同じ未経験どうしの応募なら、取得済みの人は評価の面で一歩先に出られます。取得費用の補助がない会社を狙うときや、手当が付く会社に先に入りたいときは、自分で取る価値があります。

なお、応募条件に普通自動車免許が入っている求人が目立ちました。たとえば産業用ガスのルート営業では、社有車を使った営業活動が仕事内容に書かれています。免状より先に、運転免許の条件を確認してください。

第一種高圧ガス販売主任者を活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 求人の記載(2026年10月3日確認)
産業用ガスのルート営業(エア・ウォーター東日本、宮城県) 既存の取引先への産業用ガス・関連機材の提案、定期訪問 ○ 歓迎条件に「高圧ガス販売主任者(第1種)」 月給20万〜30万円、年間休日125日
工業用ガスのルート営業(ウエキコーポレーション) 酸素・窒素・炭酸ガスなどの工業用ガスと周辺設備の提案 ○ 未経験OK。入社後に会社の費用サポートで取得 月給23万円〜、初年度年収380万〜600万円
溶接機器・工業用ガスの商社の営業(日本通酸、大阪府) 既存顧客への訪問、提案、見積作成 ○ 取得費用を全額会社が補助。機械系の商社経験などが必須 月給25万〜30万円、初年度年収320万〜430万円
産業ガスなどのルート営業(山内酸器、愛知県) 食品メーカーや自動車部品メーカーへの産業用ガス・溶接材料の提案 ○ 取得すると月2万円の資格手当を受け取れることもある 月給22万〜30万円(固定残業代月40時間分・5万円以上を含む)、想定年収264万〜360万円
医療機器メーカーの工場長候補(Sanko Medical、埼玉県) 生産工場全体の運営・改善 △ 資格手当と資格取得支援の対象。必須は工場運営の指揮経験3年以上など 月給31万〜38万円

出典:各社の求人ページ(マイナビ転職・エンゲージ)。URLは本文の出典に記載。年収は会社・地域・経験で大きく変わります。「初年度年収」は賞与や諸手当を含む想定額です。

どの求人も、資格保有者の平均年収を示すものではありません。年収は、営業か配送かといった職務、勤務地、経験、残業代の扱い(固定残業代の有無)で変わります。

あわせて取得すると強い資格

丙種化学(特別試験科目)

ガスをつくる工場で保安係員を務めるための免状です。販売主任者には選任できませんが、第一種の試験では、法令が免除になります。さらに、第一種販売講習を修了(検定に合格)すれば、全科目が免除になります(受験案内書の別紙)。製造側の保安の知識を持つ人が、販売側の免状を取る近道です。

第二種高圧ガス販売主任者

LPガスも扱う会社で、産業ガスと両方の販売を任されたいときに役立ちます。第一種と第二種では、扱えるガスと、選任される役割が違います。

乙種化学・乙種機械

どちらも製造保安責任者の免状で、販売主任者にも選任できます。製造の保安係員や保安主任者まで広げたい人は、第一種ではなく、こちらを目指す選択肢です。

第一種高圧ガス販売主任者に合格するには

試験は2科目。出る内容は公式の問題で確かめられる

試験は、法令と保安管理技術の2科目で、どちらも択一式です。KHKが公表している令和7年度の問題を見ると、中身は次のとおりでした。

  • 法令(20問)
    高圧ガス保安法の目的と定義、特定高圧ガス消費者、容器、貯蔵の技術上の基準、販売の方法、廃棄、販売したガスを買って溶接・熱切断に使う人への周知など。各問は、イ・ロ・ハの記述の正誤を組み合わせて選ぶ形でした
  • 保安管理技術(20問)
    ガスの分子量や、圧力・温度が違う気体の標準状態の体積を求める計算、液化ガス、燃焼と爆発、容器・容器用バルブ・安全弁、圧力調整器、温度計と流量計、酸素・可燃性ガス・毒性ガス・アンモニア・特殊高圧ガスの性質など

独学でつまずきやすいのは、次の2点です。

  • 計算問題がある
    混合気体の平均分子量や、標準状態への換算は、公式を覚えるだけでは解けません。自分の手で解く練習が必要です
  • 法令は、条文の言い回しで正誤が決まる
    「販売業者」と「特定高圧ガス消費者」のように、立場ごとに守る基準が違います。誰に対する決まりかを区別して読む必要があります

講習を受けると、保安管理技術が免除になる

KHKの第一種販売講習を受けて、保安管理技術の検定に合格すると、国家試験の保安管理技術が免除になり、法令だけの受験で済みます。

項目 内容
講義の内容 21時間(法令7時間・保安管理技術14時間)。会場講習のほか、オンデマンドのオンライン講習もある
検定 保安管理技術のみ(法令は検定を実施しない。ただし全科目の受講が検定の受検条件)
受講受検料 16,700円(課税)
開催 年1回(6月頃に開催予定)
令和8年度の日程 申込4月2日〜4月15日、講習期間6月5日〜6月25日、検定7月3日。令和9年度は未公表(2026年10月3日時点)

出典:高圧ガス販売主任者講習|KHK、試験科目免除制度|KHK、科目免除講習について|KHK、令和8年度 講習予定表 No.1(2026/8/20版)|KHK (2026年10月3日確認)

免除を使っても、国家試験の受験手数料の表は種類ごとの金額のままです。講習の費用が上乗せになります。そのかわり、前の章の合格率のとおり、保安管理技術免除の合格率は全科目受験より高くなっています。独学で保安管理技術に不安がある人は、講義で学んでから検定を受ける選択肢です。ただし、検定にも合格する必要があります。

講習修了証による免除は、失効しません(講習修了証に有効期限はありません)。一度取れば、あとの年の試験でも使えます。

次の講習日程が未公表でも、勉強は先に始められます。講習を受ける場合も、全科目を国家試験で受ける場合も、勉強する内容は法令と保安管理技術で同じだからです。

過去問は公式で公開されるが、期間が限られる

KHKは、試験問題を試験の翌日から翌年1月下旬ごろまで、正解答番号を翌年度の試験の1週間前までホームページに掲載します。受験する年は、試験の翌日に問題を保存しておくと、次の年の復習に使えます。それ以前の年度の問題は、KHKが講習の推奨テキストに挙げている『第一種高圧ガス販売主任者 試験問題と解説』などで確かめられます。

直前期は、計算問題と、ガスごとの性質・販売の基準を重点的に仕上げる

試験前の1〜2か月は、新しい知識を増やすより、取れる問題を確実に取ることに集中するのが効率的です。

  • 計算問題は、分子量・混合気体・標準状態への換算を、解き方を見ずに解けるまで繰り返す
  • 法令は、貯蔵や販売の基準(たとえば、容積0.15立方メートルを超える高圧ガスを容器で貯蔵するときの基準)の数字を、立場ごとに整理する
  • 酸素、アンモニア、可燃性ガス・毒性ガスは、それぞれの性質と、容器・バルブの扱いをセットで確認する

第一種高圧ガス販売主任者を活かして転職を成功させる進め方

資格が評価される求人を探す

求人検索では、「高圧ガス販売主任者」だけでなく、「産業ガス」「工業用ガス」「溶接材料」「医療ガス」でも探してみましょう。資格名が書かれていなくても、ガスを売る仕事の求人は多くあります。

LPガス会社の求人は、必須が第二種の場合が多いので、種類を確認してください。「高圧ガス販売主任者」とだけ書かれた求人でも、扱うガスがLPガスなら、第一種では応募条件を満たしません。普通自動車免許の条件も、あわせて見ておきましょう。

職務経歴書で免状と経験をつなげる

「第一種高圧ガス販売主任者 取得」と書くだけでは伝わりません。選任の条件は、ガスの種類ごとの6か月以上の経験で決まります。たとえば「酸素・アセチレンの容器を、工場など約30社に定期配送し、容器の取り扱いと使用上の注意を案内した」のように、どのガスを、誰に、どれだけ扱ったかを具体的に書きましょう。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを1人で進めるのは、仕事をしながらだと大変です。第一種を持っている人ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由は、この資格の扱いは求人票に「歓迎」とだけ書かれることが多く、取得費用の負担や手当、担当するガスの種類は、募集要項だけでは見えにくいからです。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

資格手当や取得費用の条件を相談できる

「資格手当は付きますか」「取得の費用は、受験料や講習代まで会社が出してくれますか」と、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントなら、企業とのやり取りの中で確認してもらえます。固定残業代が何時間分含まれているかも、求人票の数字を見比べるときの大事な条件です。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「営業か配送か」「産業ガスか医療ガスか」「残業は少なめがいい」。希望を伝えるだけで、条件に合う求人を紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあり、自分で探すだけでは出会えない選択肢が増えます。

入社前に職場の実情を確認できる

担当するガスの種類、納品先の数、配送を自分でする割合、休日や夜間の対応があるか、入社後に免状の取得をどう支援してもらえるか。入社してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に確認できます。

書類や面接の対策をしてもらえる

ガスの扱いの経験を職務経歴書にどう書けば評価されるか、面接で保安の知識をどう伝えればいいかを、アドバイスしてもらえます。

年収の交渉や入社日の調整を任せられる

内定後の年収交渉や、入社日の調整もサポートしてもらえます。今の仕事を続けながらでも、転職活動を進めやすくなります。

さらに、これらはすべて無料です。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • 資格を取ったのに、今の会社では手当も評価も変わらない
  • 今の年収に満足していない
  • 産業ガスの営業や配送に興味があるが、未経験で受かる求人を探せていない
  • 工場の設備や保安の仕事に、免状を活かしたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と資格なら、どんな求人があるのか質問し、答えてもらうだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
メイテックネクスト(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(製造業のエンジニア) 製造業・メーカー・ITのエンジニアの転職に特化。電気・電子・半導体、機械・メカトロ、化学・素材など、分野別の専門コンサルタントがいる 工場の設備・生産技術・品質などの経験があり、保安の知識を技術職で活かしたい人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 幅広い業界・職種の求人を扱う。応募後の書類・面接対策、内定後の年収交渉・入社日の調整まで案内している ガスの営業や配送、物流など、職種で幅広く比べたい人

迷ったら、特化型と総合型を1社ずつ、2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の市場価値がより正確にわかります。ただし、技術職ではなくガスの営業・配送を探す人は、総合型を軸にして、求人サイトの検索も組み合わせてください。

よくある質問

第一種と第二種は、どちらを取ればいいですか?

売るガスで決まります。酸素・水素・アセチレン・アンモニアなど、LPガス以外の高圧ガスを扱う会社なら第一種です。LPガスを扱う会社、とくに一般家庭向けの販売店なら第二種です。両方を扱う会社で働くなら、両方を取る人もいます。

乙種化学を持っていれば、第一種は取らなくていいですか?

販売主任者になるだけなら、乙種化学や乙種機械の免状でも選任できます(対象のガスに6か月以上の経験が必要)。第一種を別に取る必要は薄くなります。免状の名前が求人の条件に書かれている場合は、応募先に、乙種化学でも認められるかを確認しましょう。

未経験でも受験できますか?

受験資格はなく、誰でも受けられます。免状を取ったあと、販売主任者に選任されるには、対象のガスの製造または販売に6か月以上の経験が必要です。

資格手当はいくらくらいですか?

求人では月3,000円(パート、週20時間未満は半額)から、月2万円までの記載を確認できました。手当の金額が書かれていない求人も多いので、応募前に確かめましょう。

独学で合格できますか?

試験問題はKHKのホームページで公開されるので、独学でも合格は可能です。ただし、全科目受験の合格率は25〜33%で、計算問題もあります。不安がある人は、講習と検定で保安管理技術の免除を受ける方法もあります。

合格したら、すぐに免状がもらえますか?

合格のあとに、免状交付申請が必要です。申請書は合否通知書と一緒に届きます。手数料がかかります。

まとめ:あなたの次の一手

第一種高圧ガス販売主任者は、産業ガスや溶接材料を売る仕事の経験がある人にとって、LPガス以外の高圧ガスの販売主任者を務められると示せる資格です。一方で、LPガスは扱えず、選任には6か月以上の経験が必要なので、資格単体で採用が決まるわけではありません。

あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。

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参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。