PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)は転職に有利?IPAのプロジェクトマネージャ試験との違いと活かせる人・活かせない人

「PMPを取れば、プロジェクトマネージャーの転職で有利になるのかな」 「受験にはプロジェクトを率いた経験も研修も必要と聞くけれど、手間をかけて取る価値はあるんだろうか」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、PMPは、プロジェクトを率いた経験がすでにある人が、その経験を世界共通の基準で示せる資格です。求人では「歓迎」に挙げられることが多く、PMOコンサルや大手企業のプロジェクトマネージャー(PM)の応募で、経験を説明しやすくなります。

一方で、PMPだけで採用が決まる資格ではありません。リクルートエージェントで「PMP」を検索して開いた求人のうち、必要な経験の欄にPMPが書かれていたのは50件で、「必須」の枠に入っていたのは2件だけでした。しかもその2件は、IPAのプロジェクトマネージャ試験と「どちらか」の書き方です。資格より先に、どんなプロジェクトを、何人で、何か月率いたかが見られます。

この記事では、PMIとPMI日本支部の公式情報、実際の求人、企業の資格手当の一覧をもとに、PMPが転職でどう評価されるのかと、IPAのプロジェクトマネージャ試験との使い分けを解説します。

結論:PMPは転職に有利?

結論は「プロジェクトを率いた経験とセットなら有利、経験が受験条件に届かないうちは受験もできない」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
PM・PL・PMOなどの経験あり
+
PMPあり
◎ 歓迎条件を満たし、PM・PMOの求人で経験を説明しやすい PMPを歓迎・必須とする求人に応募する
PM・PL・PMOなどの経験あり
+
PMPなし
○ 受験条件を満たしていれば、取得で歓迎条件がそろう プロジェクトを率いた月数を数え、35時間の研修から始める
メンバーとして参加した経験が中心
+
PMPなし
△ 率いた経験の月数が足りないと、PMPは受験できない PMOやサブリーダーで経験を積む。先にIPAのプロジェクトマネージャ試験やCAPMを検討する

PMPは「持っていないとできない仕事がある」資格ではありません。PMI日本支部も、PMPは法的な資格や免許ではないと説明しています。評価されるのは、資格の名前より、受験の申請で書いたプロジェクトの経験を、求人の相手に伝わる形で見せられるかどうかです。

PMPとは?1分でわかる基本情報

PMPは、米国のProject Management Institute(PMI)が認定する、プロジェクトマネジメントの国際資格です。PMI日本支部は、試験は受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験・教育・知識を測るものだと説明しています。IT・建設をはじめ多くの業界から注目されている、というのが同支部の紹介です。

PMP試験の概要

項目 内容
主催 米国PMI(日本ではPMI日本支部が案内)
資格の種類 国際的な民間資格(法的な資格・免許ではない)
受験条件 学歴に応じたプロジェクトを率いた経験+35時間のプロジェクトマネジメント研修(次の項で解説)
申込の流れ PMIの申請システムで申請し、承認されてから受験料を支払って試験を予約する
受験期間 1年。この間に最大3回まで受験できる
試験日 決まった日はなく、テストセンター(ピアソンVUE)か、監督者付きのオンライン受験(日本ではATA社)の予約枠から選ぶ。日本語で受験できる
出題形式 180問(採点される170問+採点されない10問)、240分、10分の休憩が2回。複数選択、ドラッグ&ドロップ、ケース問題、グラフを読む問題など
出題範囲 People(人)33%、Process(プロセス)41%、Business Environment(事業環境)26%
受験料 PMI会員と非会員で金額が異なる。会員料金は、支払う時点で会費を納めていれば適用される
合格率 PMIとPMI日本支部の公式資料に掲載なし
更新 3年ごとに60PDU(学習・実務などの活動1時間が1PDU)を報告し、更新料を支払う

出典:PMP試験内容の概要(Exam Content Outline・2026年7月版)、PMP 資格について|PMI日本支部、受験予約等について|PMI日本支部、PMI資格ハンドブック、PMP Certification|PMI (2026年10月3日確認) ※受験料の金額は為替や改定で変わるため、受験前にPMIの最新の案内で確認してください。

受験には、プロジェクトを率いた経験と35時間の研修が必要

PMPは誰でもすぐ受けられる試験ではありません。申請の時点で、次の2つを満たす必要があります。

1つ目は、学歴に応じた月数の「プロジェクトを率いた経験」です。 直近10年以内の経験が対象で、重なっている期間は二重に数えません。

学歴 必要な経験の月数
高校卒業相当 60か月(5年)
短大など準学士レベルの課程を修了 48か月(4年)
学士以上 36か月(3年)
PMIのGAC(教育機関の認定制度)が認定した学士・大学院の課程を修了 24か月(2年)

経験は、プロジェクトの数ではなく月数で数えます。たとえば1月〜3月のプロジェクトと、2月〜5月のプロジェクトを並行して率いたなら、重なる2月〜3月を除いて、1月〜5月の5か月です。有給の仕事である必要はありませんが、職場などの専門的な場での経験に限られます。学校の課題、個人のイベント企画、自宅のリフォームは対象外です。日々の定型作業や運用・事務の作業も、プロジェクトの経験としては数えません。

2つ目は、35時間のプロジェクトマネジメント研修です。 次のいずれかで満たします。

  • オンデマンド形式の講座(どの組織の講座でもよい)
  • ライブ形式の講座。PMIの公式ページによると、2026年12月1日以降は、PMI認定のトレーニングパートナー(ATP)などか、認定された高等教育機関が提供する講座だけが対象になる(それ以前に終えた研修は、従来の条件で有効)
  • 有効なCAPM(PMIの入門資格)を持っている場合は、研修の条件が免除される

書籍や模擬試験だけでは、研修として認められません。

申請は書類を出して終わりではありません。PMI日本支部によると、申請を提出した直後に、監査の対象が選ばれます。選ばれると、学歴や経験を裏づける書類を求められるため、プロジェクトの期間と自分の役割は、あとから説明できる形で記録しておきましょう。

出典:PMP試験内容の概要(2026年7月版)、PMP Certification|PMI、PMP 資格について|PMI日本支部 (2026年10月3日確認)

合格率は公式に掲載がない

PMIの資格ハンドブック、試験内容の概要、PMI日本支部のページを確認しましたが、合格率や合格点の数字は載っていません。ハンドブックには、この試験は「基準に基づく試験」で、経験豊富なプロジェクトマネージャーなどの専門家が決めた基準を満たしたかどうかで合否が決まる、と書かれています。何問正解すれば合格、という決まり方ではありません。

試験が終わると、合否に加えて、領域ごとの成績の診断が示されます。不合格だった場合も、どの領域が弱かったかがわかります。この記事では、公式に出ていない数字は載せません。

転職でPMPが評価される理由

求人では「歓迎」が中心で、「必須」は「PMPかIPAのどちらか」の形

リクルートエージェントで「PMP」と検索し、検索結果の1ページ目にあった109件の求人を開いて確かめました(2026年10月3日確認)。求人票の「必要な経験・能力」の欄にPMPが書かれていたのは50件で、内訳は次のとおりです。

  • 「歓迎」「尚可」の欄に書かれていた求人:47件
  • 「必須」の枠に書かれていた求人:2件
  • 仕事の魅力の説明に出てきただけの求人:1件

「必須」の2件を見ると、PMOマネージャーの求人(システム開発・インフラ構築の経験3年以上と、IT業界でのプロジェクト管理の経験1年以上も必須)は、プロジェクトマネージャ試験(PM資格)かPMPの保持者を求めていました。防衛領域の事業推進を担う幹部職の求人も、PMPかIPAのプロジェクトマネージャの資格のどちらかの保有を条件にしています。つまり、PMPを必須とする求人でも、実際にはPMPか、IPAのプロジェクトマネージャ試験のどちらかを求めています。

歓迎に挙げている求人の例は次のとおりです。

  • 物流システム導入のPM(大手メーカー):必須はプロジェクトマネジメントまたはチームリーダーの経験。歓迎に「PMP、情報処理技術者試験(PM)などプロジェクトマネジメントに関する資格」。想定年収は830万〜1,080万円
  • クレジットカード会社のPM:必須はプロジェクト管理の実務経験とシステム開発の経験(TOEIC600点以上など)。歓迎に「プロジェクトマネージャー(IPA)、PMP(PMI)資格をお持ちの方」。想定年収は702万〜1,005万円

どちらも、資格がなくても応募はできます。採用で見られるのは、まずプロジェクトを率いた経験です。採用の条件ではなく、経験を裏づけて評価を後押しする材料という位置づけだと考えてください。

出典:リクルートエージェント「PMP」検索結果、アベールソリューションズ PMOマネージャー、グラビス・アーキテクツ 防衛領域の幹部職、日立製作所 物流×DXのPM、楽天カード PM(2026年10月3日確認。求人は掲載終了になることがあります)

資格手当や報奨金の対象になる会社がある

資格手当の一覧を公開している会社の中に、PMPを対象にしている例があります。

  • 日創工業(IT企業):PMPは月3万円。IPAのプロジェクトマネージャ試験も月3万円で、同じ額。手当は一度きりでなく、毎月支給すると書かれている
  • ワイドテック(IT企業):合格時の報奨金として、PMPは24万円、IPAのプロジェクトマネージャ試験は16万円。入社時に有効なIT資格を持っている場合も、社内の審査を経て報奨金を支給すると書かれている
  • マネジメントソリューションズ(PMOコンサル):PMPの受験、PDU取得、英語学習をサポートする制度がある

月3万円なら年36万円です。会社によって、毎月の手当にするか、合格時の一時金にするか、またIPAの試験とどちらを高く扱うかが違います。応募前に、手当の対象資格と金額を確認しましょう。

出典:資格手当一覧|日創工業、資格取得支援制度|ワイドテック、マネジメントソリューションズ PMOコンサルの求人(2026年10月3日確認)

試験の中身が、実務で判断してきた人の経験と重なる

PMIの試験内容の概要によると、PMPは用語や手順の暗記を問う試験ではなく、受験者が自分の経験をもとに、仕事の場面を想定したシナリオ問題に答える試験です。問題の約40%は計画どおりに進める従来型のやり方、残りの約60%はアジャイル(短い期間で作って確かめながら進める開発)と、両方を組み合わせるハイブリッドのやり方を前提にしています。採用する側から見ると、PMPを持っている人は、プロジェクトの進め方を共通の言葉で説明できる人だと読み取れます。

PMPとIPAのプロジェクトマネージャ試験は何が違う?求人ではどちらが求められる?

日本でプロジェクトマネジメントの資格というと、PMPのほかに、IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の高度試験の一つ、プロジェクトマネージャ試験があります。まず試験そのものの違いを並べます。

項目 PMP IPAのプロジェクトマネージャ試験
実施 米国PMI(国際資格) IPA(情報処理技術者試験の高度試験)
対象とする仕事 業種を問わないプロジェクト システム開発プロジェクトのプロジェクトマネジメント
受験条件 学歴別の経験月数+35時間の研修 経験月数などの条件は案内ページに載っていない
出題形式 180問・240分のシナリオ中心の試験 科目A(四肢択一。A-1は30問50分、A-2は25問40分)、科目B-1(記述式。3問から2問選択、90分)、科目B-2(論述式。2問から1問選択、120分)
受験料 PMI会員と非会員で異なる 7,500円(税込)
合格率 公式に掲載なし 令和7年度秋期は14.3%(受験者8,511人、合格者1,219人)
有効期間 3年ごとに更新が必要 合格の有効期限はない

出典:プロジェクトマネージャ試験|IPA、令和8年度 申込受付期間及び試験実施期間|IPA、統計情報|IPA(令和7年度の推移表)、試験に関するよくある質問|IPA、PMPの出典は前の章に同じ (2026年10月3日確認) ※IPAは、現行の試験制度を2026年度の実施で終え、2027年度から新しい試験制度に移る予定だと案内しています。2026年度のプロジェクトマネージャ試験は後期の実施です。受験前に、IPAの最新の案内を確認してください。

IPAの試験は、経験月数の条件が案内に載っておらず、合格率は約14%です。PMPは、受験の申請に経験の裏づけが要りますが、試験そのものの合格率は公式資料に載っていません。では、求人ではどちらが求められるのでしょうか。上で開いた求人と、企業の資格手当の一覧から、3つに分けて整理します。

国内のIT企業の求人は「どちらか」と書くことが多い

PMPを書いた50件の求人のうち、IPAの高度情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ試験を含む)も並べて書いていた求人は15件ありました。上で紹介した必須の2件や、日立の求人がその例です。さらに、公共領域のITコンサルタント(マネージャ)の求人では、マネージャとして採用する場合、入社後にPMPかIPAのプロジェクトマネージャ資格のいずれかを取得することを必須にしていました。年俸は1,360万円以上です。

こうした求人は、PMPとIPAのプロジェクトマネージャ試験を、どちらも「プロジェクトマネジメントを体系的に身につけている」ことの証明として同じ扱いで書いています。国内のIT企業を中心に探すなら、どちらか一方を持っていれば応募の条件は満たせると読めます。

PMPだけが挙がるのは、海外やコンサル、IT以外の求人

PMPだけを書いた求人には、次のようなものがありました。

  • 大手コンサルティング会社のSAP導入プロジェクトマネージャー:必須はSAPのプロジェクトリードの経験。歓迎にMBA、公認会計士、USCPAなどと並んでPMP
  • 海洋石油・ガス設備の会社のR&Dエンジニア:必須は理系の学士、業界での2年以上の実務経験、英語力。歓迎にPMP資格
  • PMOコンサルティング会社:PMPの受験とPDU取得をサポートする制度がある

PMPは世界共通の資格で、業種も問いません。国をまたぐプロジェクトや英語での業務がある会社、ITに限らず製造・プラントで事業を進める会社の求人には、PMPだけが名指しで書かれている例がありました。

IPAの試験だけが挙がるのは、国内の社内SEや情報システム部門の求人

IPAの高度試験だけが書かれている求人は、社内SEや情報システム部門の求人で見つかりました。たとえば、ある会社の情報システム部門の求人は、歓迎に「技術士(情報工学部門)、ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、応用情報技術者」を挙げていて、PMPは書いていません。自社のWebサイトを開発する社内SEの求人にも、歓迎に「高度情報処理技術者の資格を1つ以上」とありました。

手当や報奨金でも、IPAの高度試験を対象にしている例があります。生命保険会社の社内SEの求人には、高度情報処理技術者試験などの合格者に1資格10万円を支給し、合格した場合は受験料も会社が負担すると書かれていました。ただし、前の章で見たとおり、日創工業ではPMPとIPAのプロジェクトマネージャ試験が同額で、ワイドテックではPMPのほうが高く設定されています。「国内ならIPAのほうが必ず得」とは言えません。

どちらから取る?

  • 日本語で論述を書き、国内のIT企業で働くことが中心なら、IPAのプロジェクトマネージャ試験から。受験条件に経験の月数がないため、PMPの受験条件に届かない人でも先に挑戦できます
  • 外資系・グローバル案件・コンサル・IT以外の業界が候補に入るなら、PMPから。受験条件を満たしていることが前提です
  • 両方を持っていれば、「どちらか」と書く求人にも、PMPだけを書く求人にも応募できます。ただし、取る順番に迷って動き出せないなら、受験条件を今満たしているほうから始めてください

出典:グラビス・アーキテクツ 公共領域のITコンサルタント(マネージャ)、アビームコンサルティング SAPプロジェクトマネージャー、三井海洋開発 R&Dエンジニア、ソニー生命保険 社内SE、大日本ダイヤコンサルタント 情報システム、キーエンス 社内SE(2026年10月3日確認)

PMPが転職で有利にならないケース

ここまで読むと心強い資格に見えますが、有利にならないケースもお伝えします。

(1)プロジェクトを率いた経験が足りない場合

PMPは、経験が受験条件に届かなければ、受験できません。たとえ取れたとしても、求人は資格より実務の経験を必須にしています。たとえば、先ほどの物流システム導入のPMの求人は「プロジェクトマネジメントまたはチームリーダーの経験」、PMOコンサルの求人は「複数顧客に対するプロジェクトマネジメントの実務経験」、SAPのPMの求人は「プロジェクトリードの経験」が必須でした。

経験が足りないなら、次の行動を選べます。

  • 今の職場で、PMOの補佐やサブリーダーなど、スケジュールや課題を管理する役を引き受ける
  • PMIの入門資格CAPMを検討する。PMIは、受験条件を満たしていない人にCAPMを案内しています。CAPMを持っていれば、PMPの35時間の研修も免除されます
  • IPAのプロジェクトマネージャ試験は、経験月数の条件が案内に載っていないので、先に挑戦する

(2)求人が資格より経験の説明を求めている場合

歓迎に挙げている求人が大半(47件)ということは、PMPがなくても応募できる求人が多い、ということです。PMPを足しても、プロジェクトの規模や自分の役割が職務経歴書から読み取れなければ、評価は変わりません。資格を取る前に、率いたプロジェクトの人数・期間・予算・成果を書き出しておきましょう。

(3)更新をしていない場合

PMPは取って終わりではなく、取得日から3年ごとに60PDUを報告して更新します。期限までに60PDUに届かないと、翌年の1年間は資格が停止され、その間はPMPと名乗ることも、名刺に書くこともできません。この猶予の間にPDUを満たせなければ、資格を失い、もう一度申し込んで受験し直すことになります。履歴書に書く前に、自分の資格が有効かどうかを確認しておきましょう。PMI日本支部によると、停止中の人はPMIのオンライン登録名簿に載りません。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。経験とセットで見せれば、他の応募者との差になる資格です。次の章で、タイプ別の活かし方を見ていきます。

【タイプ別】あなたの場合、PMPは武器になる?

SIerや事業会社でPM・PLを務めてきた人は、PMPで「大きな案件を率いた経験」を示せる

もっとも有利になるのは、システム開発のPMやPLとして、予算や人員を持って案件を率いてきた人です。応募先は、先に挙げた物流システム導入のPMやクレジットカード会社のPMのように、PMPかIPAの試験を歓迎する会社が中心になります。

評価されやすいポイントは次のとおりです。

  • 要件定義から導入までを一気通貫で率いた経験を、PMPで裏づけられる
  • 資格手当や報奨金の対象になる会社がある
  • 「いずれか必須」とする求人の条件を満たせる

ただし、PMPを持っていても、今の会社が資格を評価せず、手当も付かないことがあります。その場合は、資格を評価する会社に移るのも選択肢です。求人票だけでは、手当や評価の扱いまではわからないことがあるので、応募前に確かめられる相手を使うと早く進みます。

PMOとして複数のプロジェクトを支えてきた人は、PMOコンサルやPMOマネージャーに進める

複数のプロジェクトの進捗や課題、リスクを管理してきたPMOの経験者は、PMOコンサルやPMOマネージャーの求人で評価されます。

  • PMOコンサルの求人:必須は複数顧客に対するプロジェクトマネジメントの実務経験。年俸960万〜1,500万円で、PMPの受験とPDU取得のサポート制度がある
  • PMOマネージャーの求人:必須はシステム開発・インフラ構築の経験3年以上と、IT業界でのプロジェクト管理の経験1年以上。さらにPM試験かPMPの保有者であること。想定年収は700万〜1,200万円(月給に固定残業代を含む)

PMPがあると、PMOマネージャーの求人の「必須」の資格の条件を満たせます(PM試験でも可)。

製造・プラントなどIT以外でプロジェクトを率いてきた人は、業界を越えて経験を示せる

IT以外の業界でプロジェクトを率いてきた人は、IPAの試験よりPMPが合います。IPAのプロジェクトマネージャ試験は、システム開発プロジェクトを対象にしているためです。PMPは業種を問わず受けられ、PMI日本支部も、IT・建設をはじめ多くの業界から注目される資格と紹介しています。

海洋石油・ガス設備の会社のR&Dエンジニアの求人は、研究開発プロジェクトの立ち上げとPMOの業務を担当し、歓迎にPMP資格を挙げています。想定年収は600万〜1,200万円です。この求人は理系の学士、業界での実務経験2年以上、英語力が必須なので、PMPに加えて英語を使える人が有利です。

プロジェクトの経験がまだ足りない人は、資格より経験の月数を積む

メンバーとしてプロジェクトに参加してきた経験が中心の人は、PMPの申請に必要な「率いた経験」の月数にまだ届いていないことが多いはずです。まず、今の仕事の中で、プロジェクトの計画・進捗管理・関係者との調整を自分が受け持つ機会を作りましょう。次に、受験条件に届くまでの間は、IPAのプロジェクトマネージャ試験やCAPMで知識を整理する方法があります。

PMPを活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 年収の目安(求人記載)
自社サービス開発のPM ICタグなど自社サービスの開発プロジェクトを率いる ○ 歓迎。必須は上流工程の経験5年以上 年俸600万〜850万円
物流・カード会社などのシステム導入PM 提案から運用までのプロジェクトを率いる ○ 歓迎。PMPかIPAの試験 想定年収702万〜1,080万円(求人2件の記載)
PMOマネージャー プロジェクト全体の管理方針の策定、複数チームの横断管理 ◎ 必須(PM試験かPMP) 想定年収700万〜1,200万円
PMOコンサル 小売・流通などのクライアントの大規模プロジェクトで、戦略統制やガバナンス設計を担う ◎ PMPの受験サポートあり。必須は実務経験 年俸960万〜1,500万円
公共領域のITコンサルタント(マネージャ) 行政機関向けのITコンサルティングを率いる ◎ 入社後にPMPかIPAの資格の取得が必須 年俸1,360万円以上
製造・プラントなどの研究開発のPMO 研究開発プロジェクトの立ち上げ・PMO業務 ○ 歓迎。英語力が必須 想定年収600万〜1,200万円

出典:ヨコハマシステムズ プロジェクトマネージャー、日立製作所、楽天カード、アベールソリューションズ、マネジメントソリューションズ、グラビス・アーキテクツ、三井海洋開発(2026年10月3日確認) 年収は会社・勤務地・経験・固定残業代の扱いで大きく変わります。PMP保有者の平均年収ではありません。

あわせて取得すると強い資格

プロジェクトマネージャ試験(IPA)

国内のIT企業を受けるなら、PMPとの両方を持つ意味があります。「どちらか」と書く求人にも、IPAの高度試験を手当の対象にする会社にも通じるからです。PMPが現場の判断を問うシナリオ問題の試験なのに対し、IPAの試験には記述式と論述式があり、考えを文章で書く力も試されます。

応用情報技術者試験(IPA)

PM経験はあっても、システムの技術面の知識を示したい人に向いています。組み込み制御のプロジェクトマネージャーの求人には、歓迎条件にPMPと応用情報技術者試験を並べているものがありました。

ITIL

ITサービスの運用管理の考え方(ITIL)に関する資格です。情報システム部門のプロジェクト推進を担う求人には、尚可の条件に「ITIL、PMP、情報処理資格各種」と並べて書かれているものがありました。社内のIT部門や、運用まで持つ会社のPM・PMOを狙う人に合います。

出典:横河ソリューションサービス プロジェクトマネージャー、豊田通商システムズ(2026年10月3日確認)

PMPに最短で合格するには

最初の関門は、申請に必要な経験を書き出すこと

PMPは、試験勉強より前に申請が必要です。経験の月数は、プロジェクトごとの開始と終了の月、自分の役割、率いた範囲を書き出すところから数え始めます。書き出す前に、次の3点を確かめましょう。

  • 重なっている期間を二重に数えていないか
  • 運用や定型作業ではなく、「始まりと終わりがあるプロジェクト」を対象にしているか
  • 直近10年以内の経験か

監査に選ばれる可能性があるので、日付と役割は、あとから裏づけられる範囲で書いてください。この書き出しは、そのまま職務経歴書の下書きにもなります。

35時間の研修は、オンデマンドで早く終えられる

研修の時間は、認定パートナーのライブ講座を待たなくても、オンデマンド形式の講座で満たせます。2026年12月1日以降は、ライブ講座の対象が絞られるので、ライブ形式を選ぶなら講師と提供元が条件に合うかを申込前に確認してください。

試験でつまずきやすいのは、「暗記では解けない」問題と時間配分

独学でつまずきやすい点は、次の2つです。

  • シナリオ問題が中心である
    PMBOKガイドの内容を覚えるだけでは答えにくく、「この場面で、まず何をするか」を選ぶ問題が多いです。アジャイルとハイブリッドの場面が、問題の約6割を占めます
  • 試験が4時間で、休憩の入り方に決まりがある
    10分の休憩は2回あり、休憩に入ると、その前の問題には戻れません。見直しは休憩の前に済ませる前提で、時間を配分してください

2026年7月に試験の内容が更新され、出題の割合も変わりました。PMIは、更新前の教材で勉強中の人は、中心となる考え方と進め方は変わらないので続けてよいと案内しています。ただし、AIや持続可能性(サステナビリティ)の話題は強化されています。新しい試験内容の概要を読んで、自分の教材で足りない領域を補ってください。

直前期は、領域ごとの弱点を潰す

試験の前の1〜2か月は、新しい知識を増やすより、弱い領域を見つけて埋めるほうが効率的です。

  • 試験内容の概要(日本語版もあります)で、3領域のタスクを読み、自分の経験と結びつける
  • PMIが提供する練習試験などで、時間を計って解き、間違えた問題は「なぜその選択が最初の一手なのか」を言葉にする

受験期間の1年のうちに3回まで受けられるので、1回目で合格できなくても、領域ごとの診断をもとに立て直せます。

PMPを活かして転職を成功させる進め方

PMPが評価される求人を探す

求人検索では「PMP」だけでなく、「PMO」「プロジェクトマネージャー」「ITコンサルタント」などの言葉でも探しましょう。資格名が書かれていなくても、プロジェクトを率いた経験を求める求人は多くあります。見つけた求人は、PMPが「必須」の枠にあるのか「歓迎」の枠にあるのかを分けて読むと、応募の優先順位をつけやすくなります。

職務経歴書で資格と経験をつなげる

「PMP 取得」と書くだけでは伝わりません。プロジェクトごとに、規模・期間・自分の役割・成果を書いてください。たとえば、次のような書き方です(架空の例です)。

官公庁向け基幹システムの刷新プロジェクト(開発メンバー25名・14か月)でPMを担当。ベンダー間の仕様の食い違いをスケジュールへの影響で整理し、リリース時期を変えずに調整した。課題管理表を週次で更新し、遅延リスクを早めに経営層へ報告した。

PMPの申請のために書き出したプロジェクトの記録が、そのまま使えます。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを1人で進めるのは、仕事をしながらだと大変です。そして、PMPを持っている人ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由は、PMPの扱いが会社ごとに違い、求人票だけでは見分けにくいからです。必須の枠に入れる会社、歓迎止まりの会社、手当の対象にする会社、IPAの試験と同額にする会社があります。さらに、年収の幅も600万円台から1,000万円超まで広く、自分の経験でどこを狙えるかを1人で判断するのは難しいものです。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

年収や条件を相談できる

「PMPの手当は付きますか」「今の年収から上げたい」と、自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントは年収などの条件交渉を支援します。「複数のプロジェクトを率いた経験がある」「PMPを持っている」といった強みを、企業が評価しやすい形で伝えてもらえます。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「PMOコンサルに移りたい」「国内のPMから外資系に移りたい」「マネージャー職を狙いたい」。希望を伝えると、条件に合う求人を紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえるサービスもあります。

入社前に職場の実情を確認できる

PMPの手当は本当に付くのか、PMとして裁量を持てるのか、案件の規模や人員はどれくらいか。入社してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に確認できます。

書類や面接の対策をしてもらえる

PMPと実務の経験を職務経歴書にどう書けば評価されるか、面接でプロジェクトの判断をどう説明すればよいかを、業界を知る担当者がアドバイスしてくれます。

入社日の調整まで任せられる

内定後の入社日の調整などを代わりに進めてもらえるので、今の仕事を続けながらでも転職活動を進めやすくなります。

さらに、これらはすべて無料です。エージェントは採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みなので、求職者がお金を払うことはありません。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • PMPを取ったのに、今の会社では手当も評価も変わらない
  • 今の年収に満足していない
  • PMからPMOコンサルやITコンサルなど、別の職種に移れるか知りたい
  • 国内のIT企業から、外資系やグローバル案件のある会社に移りたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の市場価値を知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と資格ならどれくらいの年収の求人があるのかを質問し、答えてもらうだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
レバテックキャリア(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(IT・Web) IT・Webエンジニアの転職に特化。書類添削や企業ごとの面接対策、年収交渉・入社日調整を支援 SIerや事業会社でITのPM・PLを務めてきた人
AXIS Agent(アクシスコンサルティング)(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(コンサル・DX/IT) コンサルティング業界やDX/IT・企画職の転職を支援。求人の約78%が非公開求人 PMOコンサルやITコンサルに移りたい人
JAC Recruitment(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型(ハイクラス) 年収500万円以上の層向け。IT(PM・SE)を含む幅広い職種で、レジュメ添削・面接対策・条件交渉・入社スケジュールの調整を支援(経験や希望によっては紹介できる求人がない場合もある) マネージャー職や年収アップを狙う人

迷ったら、IT・コンサル特化型と総合型を1社ずつ、2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の市場価値がより正確にわかります。

よくある質問

PMPは意味ない資格ですか?

プロジェクトを率いた経験がない人が資格だけ取っても、意味は小さいでしょう。一方で、PMOコンサルやPMOマネージャー、PM職の求人には、PMPを歓迎や必須の条件に挙げるものがあります。経験とセットで見せることで意味のある資格です。

プロジェクトマネージャーの経験がなくても受験できますか?

できません。学歴に応じて、24〜60か月のプロジェクトを率いた経験が必要です。経験が足りない場合、PMIはCAPMなど別の資格を案内しています。

PMPとIPAのプロジェクトマネージャ試験は、どちらを先に取るべきですか?

国内のIT企業が中心で、PMPの受験条件に届かないなら、IPAの試験から。外資系やグローバル案件、IT以外の業界も候補なら、受験条件を満たしている場合にPMPから取るのが近道です。多くの求人は「どちらか」で扱うので、両方を急いで取る必要はありません。

PMPは日本語で受験できますか?

できます。PMI日本支部によると、試験会場を予約するときに日本語を選べます。オンラインで日本語を選んで受ける場合は、ATA社が監督します。

更新しないとどうなりますか?

3年ごとに60PDUを報告して更新します。期限までに足りないと、翌年の1年間は資格が停止され、PMPと名乗れません。その間にPDUを満たせば更新できますが、満たせなければ資格を失い、受験からやり直しです。

受験料と合格率はどれくらいですか?

受験料は、PMI会員と非会員で金額が異なります。会員料金は、受験料を支払う時点で会費を納めている人に適用され、支払ったあとに入会しても差額は戻りません。金額はPMIの最新の案内で確認してください。合格率は、PMIとPMI日本支部の公式資料に載っていません。

まとめ:あなたの次の一手

PMPは、プロジェクトを率いた経験がある人にとって、その経験を世界共通の基準で示せる資格です。一方で、求人の「必須」は少なく、IPAのプロジェクトマネージャ試験と同じ扱いになることも多いため、資格単体で採用が決まるわけではありません。

あなたの状況に合わせて、次の一手を選んでください。

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参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。