自家用操縦士(飛行機・回転翼)は転職に有利?報酬を受けて飛べない資格の取り方と、事業用へ進む道

「自家用操縦士を取れば、パイロットとして転職できるのかな」 「報酬を受けて飛べないと聞いたけれど、それでも取る意味はあるのだろうか」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、自家用操縦士は、転職のための資格というより、パイロットになる道の最初の段階か、自分の楽しみのために飛ぶための資格です。航空法の別表は、自家用操縦士の業務範囲を「報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦」と定めています。

そのため、自家用操縦士だけで、お金をもらって飛ぶ仕事に就くことはできません。操縦を仕事にするには事業用操縦士以上が必要で、自家用はそこへ進むための土台になります。

この記事では、国土交通省の資料と法令をもとに、自家用操縦士(飛行機・回転翼航空機)の取得条件、学科試験と実地試験、取得後に続く決まり、事業用操縦士へ進む道を解説します。

結論:自家用操縦士は転職に有利?

結論は「転職の決め手にはならないが、操縦を仕事にしたい人には通る道」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
操縦を仕事にしたい
+
資格はまだない
○ 事業用へ進む最初の段階。ただし自家用だけでは仕事にならない 事業用までの費用・期間・身体検査の条件を先に確かめる
自家用を取得済み
+
事業用を目指す
○ 事業用の学科試験で航空通信が免除される 事業用の受験条件と自分の飛行経歴を照らし合わせる
趣味や自分の楽しみで飛びたい ― 転職の評価は目的ではない 学科・身体検査・実地の順に進める

自家用操縦士の技能証明を取るには、17歳以上であることと、一定の飛行経歴が必要です。つまり、「飛行訓練を受けずに学科試験だけで取る」ことはできません。詳しくは次の章で解説します。

自家用操縦士とは?1分でわかる基本情報

自家用操縦士は、航空法に基づく技能証明(パイロットのライセンス)の一つで、国土交通大臣が与える国家資格です。業務範囲は航空法の別表に、次のとおり書かれています。

航空機に乗り組んで、報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。

技能証明は「飛行機」「回転翼航空機(ヘリコプター)」など、航空機の種類ごとに分かれています。飛行機の技能証明で、ヘリコプターは操縦できません。さらに、エンジンの数や種類で分けた等級(陸上単発ピストン機、陸上多発タービン機など)が限定として付きます。限定は、実地試験に使った航空機の種類と等級にもとづいて決まります。

国土交通省の資料では、自家用操縦士の資格を持つ人は約2,400人と推計されています(資格ごとに数えた数で、特定操縦技能審査の実施状況からの推計です)。

出典:航空法 別表(業務範囲)、航空法施行規則 第53条(限定)、国土交通省 操縦士養成に係る基礎情報(資料1) (2026年10月4日確認)

試験の概要

項目 内容
試験を行う機関 国土交通省 航空局(学科試験と実地試験の2段階)
資格の種類 国家資格(航空法に基づく技能証明)
できること 報酬を受けない、無償の運航での操縦
年齢 17歳以上
学科試験の科目 航空気象・航空工学・航空法規・航空通信・空中航法の5科目(各40分)
学科試験の方式 パソコンで解答するCBT方式(1問1答)
合格基準 公表されている過去問では、各科目20題・1問5点・100点満点で70点以上
科目合格 全科目を受けて一部の科目に合格したときは、その通知から1年以内に行われる学科試験に限り、合格した科目が免除される
実地試験 学科合格の通知から2年以内に受験。口述試験と実技試験
国に納める手数料 学科試験を受けようとする場合5,600円、実地試験(飛行機・回転翼・飛行船)46,400円
CBT会場の受験料 1科目1,500円(税込)。5科目すべて受けると7,500円
訓練にかかる費用 国の資料では、自家用操縦士だけの訓練費の額を確認できなかった。訓練を行う会社ごとに異なる
取得にかかる期間 国の資料では「6か月〜」。民間の訓練会社の公式ページには、飛行機(単発)で「10ヶ月〜」とある
身体検査 第一種または第二種の航空身体検査証明
合格率 国土交通省の学科試験のページでは、過去問と解答は公開されているが、合格率は確認できなかった

出典:国土交通省 航空従事者技能証明等申請・学科試験、航空従事者学科試験科目及び試験時間(事務処理要領の新旧対照表)、過去問題(自家用操縦士 飛・回・船)、航空法施行規則 第43条・第48条・第48条の2、航空法関係手数料令 別表第三、CBT-Solutions 操縦士試験の一覧、国土交通省 操縦士養成に係る基礎情報(資料1)、スカイネットアカデミー 自家用操縦士課程 (2026年10月4日確認) ※受験前に必ず国土交通省の最新の案内を確認してください。

学科試験の申込では、年齢や飛行経歴は条件になっていません(CBT-Solutionsの試験案内に「どなたでも受験可能」とあります)。学科試験に合格した人が、技能証明の申請のときに、戸籍の書類と飛行経歴の証明書類を出します。

学科試験の日程(令和8年度の予定)

学科試験は年6回行われ、受験には「試験会社での会場予約」と「航空局への申請」の両方が必要です。予約だけでは正式な学科試験とは認められず、合格しても結果通知書が届きません。

試験期 会場の予約(CBT) 航空局への申請(消印有効) 試験期間
令和8年11月期 令和8年9月29日〜10月22日 令和8年10月14日〜10月22日 令和8年11月5日〜11月14日
令和9年1月期 令和8年11月20日〜12月15日 令和8年12月8日〜12月15日 令和9年1月6日〜1月16日
令和9年3月期 令和9年1月21日〜2月16日 令和9年2月8日〜2月16日 令和9年3月2日〜3月11日

出典:CBT-Solutions 航空従事者技能証明等学科試験(受験者用ページ)、令和8年度航空従事者技能証明等に関する学科試験の実施時期及び時間割について(日程は予告なく変更されることがあります) (2026年10月4日確認)

受験には飛行経歴が必要

技能証明を申請するまでに、次の飛行経歴を満たしておく必要があります。

項目 飛行機 回転翼航空機
飛行時間 40時間以上 40時間以上
単独飛行 10時間以上 10時間以上
野外飛行(単独操縦) 出発地点から270km以上、途中2回以上の生地着陸を含む5時間以上 出発地点から180km以上、途中2回以上の生地着陸を含む5時間以上
同乗教育飛行 夜間の離陸・着陸・航法を含む20時間以上 夜間の離陸・着陸・航法を含む20時間以上
回転翼のみ ― オートローテーション(エンジン停止状態の着陸)の実施

シミュレーターなどの模擬飛行装置を使った時間があれば、5時間を限度に、必要な飛行時間から差し引けます。航空大学校や指定航空従事者養成施設で訓練を受ける場合は、飛行訓練35時間以上が条件です。ほかの航空機の操縦資格を持っている人は、その飛行時間の一部を充当できるなど、細かい規定もあるため、申請前に航空法施行規則の別表第二で確認してください。

出典:航空法施行規則 第42条・第43条・別表第二 (2026年10月4日確認)

訓練を始める前に、操縦練習の許可と身体検査が要る

まだ技能証明を持っていない人が航空機で操縦の練習をするには、国土交通大臣の許可(航空機操縦練習許可)を受け、教官の監督のもとで行います。申請には、航空身体検査指定機関で申請の前1か月以内に受けた身体検査の結果が必要です。民間の訓練会社の公式ページには、入校の要件のひとつとして「有効な操縦練習許可書を持っているか、取得見込みであること」とあり、許可書は第二種身体検査基準に適合した人が所定の手続きで取れると説明されています。

自家用操縦士の航空身体検査証明は、第一種と第二種のどちらでも構いません。有効期間は次のとおりです。

証明の種類 有効期間
第一種 1年
第二種(交付日の年齢が40歳未満) 5年、または交付日から42歳の誕生日の前日までの短いほう
第二種(40歳以上50歳未満) 2年、または交付日から51歳の誕生日の前日までの短いほう
第二種(50歳以上) 1年

出典:航空法 第35条、航空法施行規則 第61条の2・第61条の3、スカイネットアカデミー 自家用操縦士課程 (2026年10月4日確認)

取ったあとにも続く決まりがある

技能証明を取って終わりではありません。航空機の操縦をするには、原則として直前2年以内に特定操縦技能審査(操縦技能審査員による、操縦に必要な知識と能力を維持しているかの確認)を受けている必要があります。航空身体検査証明も、上の表の期間ごとに受け直します。

令和7年に公布された改正航空法で、管制圏のある空港で離着陸の操縦をする人に、技能発揮訓練(人の判断や連携にかかわる訓練)の修了が義務づけられることになりました。令和8年2月の国土交通省の最終とりまとめ時点では、開始日は政令でこれから定められます。

出典:航空法 第71条の3、航空法施行規則 第162条の3、自家用操縦士等ヒューマンファクターズ訓練検討会 最終取りまとめ (2026年10月4日確認)

自家用操縦士は、仕事でどう扱われる?

自家用だけでは、報酬を受けて飛ぶ仕事に就けない

航空法の別表で、報酬を受けて操縦できるようになるのは事業用操縦士からです。事業用の業務範囲には「報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと」「航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと」「機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと」などが並んでいます。

国土交通省のよくある質問にも、個人で飛行機を運航したり、グライダーを楽しんだりする場合は自家用操縦士でよいが、有償で遊覧飛行・農薬散布・航空写真撮影飛行などを行う場合は事業用操縦士が必要だと書かれています。

ここで注意したいのは、自分の機体を持っていても、対価を得る飛行を事業にするには、操縦士の資格とは別に航空法の事業許可が要る点です。国土交通省のリーフレットは、許可なく営業した人には罰則があると案内しています。「有償」は運航の対価を得ることで、寄附・謝礼・燃料代など名目は問わないと説明されています。誰かを乗せて費用をもらう飛行が事業にあたるか迷うときは、飛ぶ前に、東京航空局か大阪航空局の事業担当に相談しましょう。

出典:航空法 別表(業務範囲)、国土交通省 航空従事者のよくある質問、国土交通省 自家用機で事業はできません!(更新 令和5年4月) (2026年10月4日確認)

資格名を条件にした操縦士の募集は、確認できなかった

求人ボックスで「自家用操縦士」と検索すると、操縦士を募集する求人は出てきませんでした(2026年10月4日に確認。表示された求人は5件)。出てきたのは、ヘリコプターなどの運航会社の総務・受付・営業の求人と、「自家用高圧受電設備」「自家用釣船」のように言葉だけが一致した電気工事・船舶管理の求人でした。件数の少ない検索結果なので、市場全体の傾向とまでは言えません。ただ、報酬を受けて飛ぶ操縦は法令上、事業用以上の資格が前提です。操縦士の募集に自家用だけで応募できないのは、ここまでの説明のとおりです。事業用の募集の条件は、事業用操縦士の記事で解説しています。

操縦士のライセンスが「歓迎」される地上の仕事はある

飛ばない仕事でも、ライセンスが評価される例はあります。ヘリコプターやプライベートジェットを扱う航空モビリティ企業AirXの「航空会社リレーション」の求人は、仕事内容に、航空会社とのリレーション強化、毎月のルート営業・企画営業、運航委託機体の契約交渉、提携オペレーションの改善が並んでいます。歓迎スキルに「元航空従事者であること(民間)」「操縦士のライセンスをお持ちの方」「運航管理など実務を行なっていた方」が並び、固定翼・回転翼は問わないと書かれています。

ただし、必須スキルの欄は空で、ライセンスの種類(自家用か事業用か)も指定されていません。求める人物像には「航空事業会社出身」「旅行会社で富裕層向けにヘリやJETの手配をしていた」といった実務の経験が挙がっています。給与欄は400〜800万円(スキル・経験に応じる)で、これは職務全体の幅であり、資格を持つ人の目安ではありません。

出典:求人ボックス「自家用操縦士の仕事・求人情報」、HERP Career 株式会社AirX【正社員】航空会社リレーション (2026年10月4日確認)

自家用が採用の途中に入る制度はある

自家用を取ることが、採用の流れの最初の段階に組み込まれている例はあります。エアロトヨタ(旧 朝日航洋)のヘリコプター認定操縦訓練生制度です。

  • 選抜試験に合格した人が「認定操縦訓練生」になる
  • 指定の訓練会社で、自家用操縦士(回転翼)と、事業用操縦士(回転翼・単発タービン)の技能証明を取る
  • 両方を取ったあとに入社試験を受ける
  • 入社後に1,000万円の貸し付けを受け、2〜3年の訓練生期間のあと、機長昇格と業務認定に合格して正社員になる。正社員として8年間操縦業務に従事すれば、返済が免除される。勤続9年未満で退職すると、残りの債務は一括で返済する

ただし、同社の募集要項のページには、2026年度4月採用の募集は実施しないと書かれています。制度のページに載っている選抜試験や訓練開始の年月は過去のものです。募集が始まるかどうかは、公式ページで確かめる必要があります。

出典:エアロトヨタ 認定操縦訓練生:制度・正社員登用までの流れ、エアロトヨタ 認定操縦訓練生:募集要項 (2026年10月4日確認)

自家用操縦士が転職で有利になりにくいケース

(1)自家用だけで、操縦の仕事を探す場合

上で見たとおり、報酬を受けて飛ぶ仕事は事業用以上の資格が前提です。履歴書に自家用操縦士と書いても、操縦職の応募資格を満たしたことにはなりません。操縦の仕事を探すなら、事業用までを取る計画を立てる必要があります。

(2)操縦以外の航空の仕事を、資格だけで狙う場合

運航会社の営業や運航管理の求人には、歓迎スキルに操縦士のライセンスを挙げるものがあります。ただ、歓迎であって条件ではなく、求める人物像には航空業界での実務経験が前面に出ていました。自家用の技能証明を取っただけで地上の職種へ移れる、とは言えません。無線の資格は航空無線通信士の記事で解説しています。

(3)取るだけで、飛び続けない場合

特定操縦技能審査は2年ごとに必要で、航空身体検査証明にも期限があります。取ったあとに飛ばなくなると、審査や身体検査を受け直さない限り、操縦はできません。仕事に使うつもりがなければ、費用と手間に見合うかを先に考えておきましょう。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。事業用以上へ進む人にとっては欠かせない最初の段階で、自分の機体で飛ぶ楽しみを求める人にとっては目的そのものです。次の章で、立場別の考え方を見ていきます。

【立場別】あなたの場合、自家用操縦士は武器になる?

操縦を仕事にしたい人は、自家用を事業用までの最初の段階として計画する

国土交通省の資料は、単発小型機で自家用操縦士、多発小型機で事業用操縦士、多発大型機で定期運送用操縦士を取る流れを、ライセンス取得の一般的な道筋として示しています。取得にかかる期間の目安は、自家用が6か月〜、事業用が1年7か月程度です。事業用(多発)を取る前に、事業用(単発)や自家用などのライセンスを取ることが多い、とも説明されています。

自家用だけで止まらず、事業用までの費用と期間を先に調べてください。国の資料では、ヘリコプターの事業用操縦士を養成する民間機関の例として、訓練費が約1,300万〜約2,330万円(教育期間は1年程度から5年)と示されています。

出典:国土交通省 操縦士養成に係る基礎情報(資料1)、ヘリコプター操縦士の養成・確保に関する関係省庁連絡会議 参考資料 (2026年10月4日確認)

趣味で飛びたい人は、転職の評価を期待せず、条件を確かめて進める

転職に役立つかどうかを基準にせず、次の3点を先に確かめましょう。

  • 17歳以上で、40時間以上の飛行経歴を積める訓練先があるか
  • 第二種の航空身体検査証明(または第一種)に適合するか
  • 取ったあとも、2年ごとの特定操縦技能審査を受けて飛び続けられるか

自家用を取ったあとに事業用へ進むか迷う人は、飛行時間・身体検査・費用の3点を照らす

事業用は、18歳以上で、飛行機なら総飛行時間200時間以上、回転翼なら150時間以上などの飛行経歴が必要です。身体検査も、自家用では第二種が選べますが、事業用は第一種航空身体検査証明が必要です。事業用に進む可能性があるなら、早めに第一種の検査を受けて基準に適合するかを確かめておくと、取得後に行き止まりになるのを避けられます。

学科試験では、自家用操縦士の技能証明を持っていると、事業用の航空通信が免除されます。ほかの4科目は受験が必要です。

出典:航空法施行規則 第43条・第61条の2・別表第二、技能証明等の既得資格による試験の免除科目について (2026年10月4日確認)

自家用操縦士が関わる仕事と、必要な資格

仕事・飛び方 必要な技能証明(航空法の別表) 自家用操縦士の位置づけ
自分で機体を運航し、報酬なしで飛ぶ(趣味・自家用機) 自家用操縦士 目的そのもの
遊覧飛行・農薬散布・航空写真撮影など、報酬を受ける飛行 事業用操縦士 事業用の前に取る最初の段階
航空会社の副操縦士、一人で操縦できる航空機の機長 事業用操縦士 同上
二人で操縦する航空機の機長 定期運送用操縦士 同上
運航会社の訓練生として採用される(エアロトヨタの認定操縦訓練生制度) 入社試験までに、自家用操縦士(回転翼)と事業用操縦士(回転翼・単発タービン)を取る 制度の中の最初の段階
運航会社・航空会社の営業や運航管理などの地上職(AirXの例) 募集ごとに異なる。操縦士のライセンスを歓迎する例がある 歓迎される材料のひとつ(種類の指定はない例)

出典:航空法 別表(業務範囲)、エアロトヨタ 認定操縦訓練生:制度・正社員登用までの流れ、HERP Career 株式会社AirX【正社員】航空会社リレーション (2026年10月4日確認)

自家用操縦士だけを条件にした募集は確認できなかったため、この記事では年収の目安を示しません。事業用以降の募集の給与は、事業用操縦士の記事で確認できた範囲を解説しています。

あわせて取得すると強い資格

事業用操縦士

報酬を受けて飛ぶ仕事に就くための資格です。自家用を持っていると、学科試験の航空通信が免除されます。

計器飛行証明

雲の中や視界が悪い状況でも、計器だけで飛ぶための証明です。事業用や自家用の技能証明を持つ人が、使う航空機の種類ごとに受けます。受験には、機長としての野外飛行50時間以上(うち10時間は証明を受ける種類の航空機)と、計器飛行等の練習40時間以上が必要です。

無線の資格(航空特殊無線技士・航空無線通信士)

操縦士の技能証明とは別の、無線従事者の国家資格です。事業用以上の運航会社の募集では、航空無線通信士を応募の条件にする会社があります。

出典:航空法 第34条、航空法施行規則 第43条・別表第二、中日本航空 キャリア採用 (2026年10月4日確認)

自家用操縦士に合格するには

国土交通省の公開資料で、学科試験を独学で対策する

学科試験は、国土交通省が公開している出題範囲の参考資料(シラバス)、例題集(2026年6月版)、過去問題と解答で対策できます。シラバスは飛行機用と回転翼航空機用に分かれています。ただし、資料は出題範囲を限定するものではないと書かれているため、出題範囲より広めに学んでおきましょう。

自家用の学科は、法令上、事業用より範囲が絞られています。たとえば航空工学の項目に、事業用にある「発動機・プロペラ」「計測器その他の装備品」は独立して挙がっていません。航空気象は「簡略な概要」、空中航法の地文航法・推測航法は「概要」、航空通信は有視界飛行方式の運航に係る内容です。

学科試験でつまずきやすいのは次の3点です。

  • 5科目それぞれに合格点がある
    各科目70点以上が必要です。1科目だけ苦手でも不合格になります。全科目を受けて一部の科目だけ合格したときは、その通知から1年以内の学科試験に限り、合格した科目が免除されます。期限を管理しましょう
  • 飛行機と回転翼で、航空工学だけが別の試験
    CBTの試験一覧では、自家用の航空気象・空中航法・航空通信・航空法規は飛行機と回転翼で同じ試験で、航空工学だけが別になっています。回転翼の資格を取るなら、航空工学は回転翼用の資料で学びます
  • 手続きのミスで受験できなくなる
    会場の予約と航空局への申請の両方が必要です。申請が漏れると、合格点を取っても結果通知書が届きません。CBT会場の予約を変更・キャンセルできるのは、受験日の3日前までです

訓練を行う民間の会社の例では、単独飛行を終えてから学科試験を受ける流れです。訓練の進み具合と試験期の予約を合わせて計画しましょう。

出典:国土交通省 出題範囲参考・例題集・過去問、出題範囲参考 自家用操縦士(飛行機)、航空法施行規則 別表第三、CBT-Solutions 操縦士試験の一覧、CBT-Solutions 受験者用ページ、スカイネットアカデミー 自家用操縦士課程 (2026年10月4日確認)

実地試験は口述と実技。訓練で慣れておく

実地試験は、学科合格の通知から2年以内に受けます。国土交通省の実地試験実施細則(飛行機・自家用)では、口述試験と実技試験が行われます。

  • 口述試験
    有視界飛行方式の規則、航空交通管制方式、航空保安施設、捜索救難、人間の能力と限界など、運航に必要な知識を聞かれます。試験に使う航空機については、性能や運用限界、操縦系統・着陸装置・発動機・燃料系統・電気系統などの中から少なくとも3系統、スピンの回避要領などを質問されます
  • 実技試験
    証明書類や重量・重心位置の確認といった飛行前作業から始まります。横風離着陸のように、天候などで条件を作れない科目は、口述で代えられることがあります。この細則では、模擬飛行装置を使った実技試験は行わないとされています

国の指定を受けた養成施設(指定航空従事者養成施設)などで訓練を受けた場合は、国の実地試験の全部または一部が免除されます。

出典:操縦士実地試験実施細則(飛行機)自家用1人(令和8年5月8日最終改正)、自家用操縦士等ヒューマンファクターズ訓練検討会 最終取りまとめ、航空法施行規則 第48条 (2026年10月4日確認)

自家用操縦士を取ったあとの進め方

自分の資格と飛行経歴を書き出す

技能証明の種類(飛行機か回転翼か)と限定(等級)、飛行時間(総飛行時間・機長時間・単独・野外・夜間)、航空身体検査証明の種類と期限、特定操縦技能審査を受けた日を、1枚にまとめます。事業用へ進むときにも、運航会社に応募するときにも、この一覧がそのまま使えます。

事業用に進むなら、受験条件と照らし合わせる

事業用の受験条件(18歳以上、飛行機200時間以上・回転翼150時間以上などの飛行経歴、第一種の身体検査)と照らして、足りない時間と検査を洗い出します。学科は航空通信が免除なので、残り4科目の試験期を決め、会場の予約と航空局への申請の日程を先にカレンダーに入れましょう。

採用ページを定期的に確認する

運航会社の訓練生制度や操縦士の募集は、時期が限られます。エアロトヨタのように、年度によって募集しないこともあります。気になる会社の採用ページは、募集が出ていない時期にも見に行き、募集が始まったら応募資格の時間・限定・年齢を自分の一覧と照らしてください。

よくある質問

自家用操縦士だけで、報酬を受けて飛べますか?

飛べません。航空法の別表は、自家用操縦士の業務範囲を「報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦」と定めています。報酬を受けて飛ぶ仕事は事業用操縦士以上の資格が必要です。

友人を乗せて、燃料代を出してもらってもよいですか?

一概には答えられません。国土交通省のリーフレットは、航空機を使う事業には許可が必要で、「有償」には寄附・謝礼・燃料代など名目を問わないと説明しています。飛行の内容によって事業にあたるかが変わるため、飛ぶ前に東京航空局か大阪航空局の事業担当へ相談してください。

年齢に制限はありますか?

受験できるのは17歳以上です。今回確認した法令と国の資料に、年齢の上限の記載はありませんでした。ただし、航空身体検査証明は年齢ごとに有効期間が変わり、第二種は50歳以上で1年になります。

飛行機と回転翼は、どちらも取れますか?

別々の技能証明なので、それぞれ取得が必要です。ただし、片方を持っている人がもう一方を取る場合は、学科試験の航空気象・航空法規・航空通信・空中航法が免除され、航空工学だけを受ければよい扱いです。実地試験と飛行経歴は、それぞれ別に必要です。

独学で取れますか?

学科試験は、国土交通省が公開しているシラバス・例題集・過去問で独学の対策ができます。一方で、実地試験の前に40時間以上の飛行経歴が必要です。これは飛行訓練を受けないと満たせないため、取得全体を独学だけで終えることはできません。

合格率はどのくらいですか?

国土交通省の学科試験のページで確認できたのは、過去問と解答までで、合格率は載っていませんでした。そのため、この記事では数字を示していません。各科目は70点以上が合格の基準です。

まとめ:あなたの次の一手

自家用操縦士は、自分の楽しみのために飛ぶための資格であり、操縦を仕事にしたい人にとっては事業用へ進む最初の段階です。自家用だけでは報酬を受けて飛べず、資格名を条件にした操縦士の募集も確認できませんでした。

取得を考えている人は、17歳以上であることと、飛行訓練を受けられる環境、身体検査の条件を先に確かめましょう。取得済みで事業用に進む人は、飛行時間・第一種の身体検査・学科4科目の試験期を照らして、日程を決めてください。

事業用操縦士の記事で、次の資格の受験条件と求人での使われ方を確かめる

参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。