不動産コンサルティングマスター(技能試験)は転職に有利?受験資格・登録の条件と求人での評価

「不動産コンサルティングマスターを取れば、転職で有利になるのかな」 「宅建士の試験に合格しただけでは受けられないと聞いたけれど、自分は受験できるのだろうか」

そう迷っていませんか?

結論を先に書くと、不動産コンサルティングマスターは、宅建士として不動産の実務を数年重ねた人が、事業企画・不動産ファンド・開発などの上流の仕事や、手当・昇給の材料へ広げたいときに評価される資格です。ただし、受験できるのは宅建士・不動産鑑定士・一級建築士の「資格登録者」だけで、合格したあとも、実務経験を満たして登録するまでは「公認 不動産コンサルティングマスター」として認定されません。

一方で、求人で「必須」と書かれるのは一部のポジションに限られ、多くは「歓迎」か「資格手当」の扱いです。手当の額も、確認できた求人では宅建士より低い金額でした。

この記事では、不動産流通推進センターと国土交通省の公表資料、実際の求人の記載をもとに、受験できる人の条件、合格後に登録するまでの道のり、求人での評価を解説します。

結論:不動産コンサルティングマスターは転職に有利?

結論は「宅建士の実務経験と組み合わせると有利、資格単体では決め手にならない」です。あなたがどこに当てはまるか、まず確認してください。

あなたの状況 転職での有利さ 次の一手
宅建士の資格登録済み(宅建士証の交付済み)
+
不動産の実務5年以上
◎ 受験して合格すれば、そのまま登録でき、ファンド・開発・業務管理者の求人で条件を満たせる 受験する。合格後すぐ登録を申請する
宅建士の資格登録済み
+
不動産の実務3年以上5年未満
○ 合格後に登録講習(5万5,000円〜)を受ければ登録できる 合格効力の期限を確認して受験する
宅建士の資格登録済み
+
不動産の実務3年未満
△ 受験はできるが、登録できるまで時間がかかる 実務を積みながら、受験の時期を決める
宅建試験に合格しただけ(資格登録なし) × 受験資格がない まず宅建士の資格登録を済ませ、不動産の仕事に就く

資格の仕組みは、宅建士の延長にあります。次の章で、受験できる人と、登録までの道のりを解説します。

不動産コンサルティング技能試験とは?1分でわかる基本情報

不動産コンサルティング技能試験は、公益財団法人不動産流通推進センターが、国土交通大臣の登録を受けて実施している登録証明事業の試験です。試験に合格し、不動産の実務経験などの要件を満たして登録した人を、センターが「公認 不動産コンサルティングマスター」として認定します。国家資格ではありませんが、国土交通大臣の登録を受けた事業として運営されています。

センターは、この仕事を、不動産の利用・取得・処分・管理・事業経営・投資について、調査・分析をもとに、依頼者が最善の選択をできるよう企画・調整・提案する業務と説明しています。

令和8年度試験の概要

項目 内容
主催 公益財団法人不動産流通推進センター
資格の種類 登録証明事業の試験(合格後に登録して「公認 不動産コンサルティングマスター」)
受験資格 宅建士・不動産鑑定士・一級建築士のいずれかの資格登録者で、その業務に従事している、または今後従事しようとする人
試験日 令和8年11月8日(日)。毎年1回、11月の第2日曜日に実施
申込期間 令和8年7月15日〜9月16日(終了)
受験料 31,500円(税込)
出題形式 択一式50問(四択・2時間・100点満点)+記述式5問(必修4問・選択1問・2時間・100点満点)
出題科目 択一式:事業・経済・金融・税制・建築・法律の6科目。記述式:実務・事業・経済が必修、金融・税制・建築・法律から1科目を当日に選ぶ
合格基準 200点満点中、一定以上の得点(令和7年度は110点以上)
合格発表 令和9年1月8日
次の試験 令和9年度の日程は、令和8年10月時点で未公表
登録者数 約15,100名(令和8年3月現在)

出典:不動産コンサルティング技能試験 試験概要|不動産流通推進センター、令和8年度 試験概要(PDF)、合格後の登録手続、更新申請手続、公認 不動産コンサルティングマスターとは (2026年10月3日確認) ※受験前に必ずセンターの最新の受験案内を確認してください。

受験できるのは、3つの資格の「登録者」だけ

受験資格は、受験の申込時点で次の①〜③のいずれかに当てはまることです。

  • ① 宅地建物取引士の資格登録者で、現に宅地建物取引業に従事している人、または今後従事しようとする人
  • ② 不動産鑑定士の資格登録者で、現に不動産鑑定業に従事している人、または今後従事しようとする人
  • ③ 一級建築士の資格登録者で、現に建築設計業・工事監理業などに従事している人、または今後従事しようとする人

ここで押さえておきたいのが、**条件になっているのは試験への「合格」ではなく、資格の「登録」**だという点です。宅建試験に合格しただけでは、受験できません。宅建士の資格登録には、宅建試験の合格に加えて、次のいずれかが必要です。

  • 宅地建物取引業の実務(一般管理部門を除く)が2年以上ある
  • 国土交通大臣の登録を受けた「登録実務講習」を修了している
  • 国や地方公共団体などで、宅地・建物の取得や処分の業務に通算2年以上従事した

一方で、宅建士証の交付を受けていなくても、資格登録があれば受験できます。ただし、合格後にマスターとして登録するときには、有効な宅建士証が必要になります(次の項で解説します)。

出典:試験概要|不動産流通推進センター、宅地建物取引士資格登録等の手続について|不動産適正取引推進機構 (2026年10月3日確認)

合格したあとに、登録の条件がある

合格しただけでは、「公認 不動産コンサルティングマスター」にはなりません。登録の申請には、次のいずれかの実務経験が必要です。

5年以上ルート 3年以上5年未満ルート
実務経験 宅建士の資格登録後、不動産に関する実務が5年以上 同じく、実務が3年以上5年未満
追加で必要なもの なし 登録の事前申込のあと、センター指定の登録講習をすべて受講(合計5万5,000円。特別講座が22,500円の場合は5万6,500円)
登録手数料 19,000円(税込) 19,000円(税込)

どちらのルートでも共通する条件は次の3点です。

  • 登録の申請日に、有効な宅建士証の交付を受けている(不動産鑑定士・一級建築士で受験した人は、その登録が消除・取消しされていない)
  • 実務経験は、受験のときに使った資格(宅建士なら宅建士)の業務で積んだものに限り、3つの資格の年数は合算できない
  • 合格した年度の翌々年度の3月末日以降に登録する場合は、センターが課す「演習問題」に答える

宅建士の場合の「実務」とは、宅地建物取引業の開発・分譲業務や媒介業務、不動産賃貸業の賃貸業務、不動産管理業の管理業務と、それらに伴う企画・調査・研究などの業務です。賃貸管理や建物管理の仕事も対象に入ります。

また、センターのページは、実務経験を「宅地建物取引士資格登録後」のものと書いています。宅建士として登録する前に不動産会社で働いていた期間が数えられるかは、ページからは読み取れません。該当する人は、受験の前にセンターのコンサルティング係へ問い合わせてください。

出典:合格後の登録手続|不動産流通推進センター、登録手続(5年以上)、登録手続(3年以上5年未満) (2026年10月3日確認)

合格してから登録するまでには、期限がある

令和元年度以降の合格者には「試験合格効力期限」があります。合格した年度の末から5年後の3月末日(令和8年度の合格なら令和14年3月末日)までに、登録を申請するか、センターが課す要件を満たして「試験合格者名簿への登載継続申請」をしないと、合格の効力が消えます。実務経験が足りないまま合格した人は、期限までに登録要件を満たす計画が必要です。

登録後の呼び名と、履歴書での書き分け

登録して認定されると、「公認 不動産コンサルティングマスター認定証書(賞状)」と「認定証(カード)」が交付され、「公認 不動産コンサルティングマスター」を名乗れます。有効期間は5年で、更新が必要です。

センターの倫理規程は、有効な認定証を持っていない人が、認定を受けているかのように誤認される表示をしてはならないと定めています。履歴書や職務経歴書には、「令和◯年度 不動産コンサルティング技能試験 合格」と「公認 不動産コンサルティングマスター 登録(認定)」を分けて書くのが安全です。

出典:公認 不動産コンサルティングマスター倫理規程(第10条)|不動産流通推進センター (2026年10月3日確認)

合格率は4割台、合格点は毎年変わる

年度 受験者数 合格者数 合格率 合格基準点(200点満点)
令和5年度 977人 442人 45.2% 115点以上
令和6年度 1,034人 432人 41.8% 110点以上
令和7年度 1,118人 508人 45.4% 110点以上

令和7年度は、受験を予定した1,473人のうち、実際に受験したのは1,118人(受験率75.9%)でした。受験資格で宅建士などの資格登録者に絞られたうえでの4割台の合格率です。受験者の半数以上が不合格になる試験なので、仕事と並行して計画的に準備する必要があります。

出典:年度別 受験者数・合格者数(PDF)の令和5〜7年度の行(受験者数・合格者数・合格率の列)、試験概要の合格基準点 (2026年10月3日確認)

取得までにかかる費用

費用 金額(税込)
受験料 31,500円
登録手数料 19,000円
登録講習(3年以上5年未満ルートの人のみ) 55,000円(特別講座が22,500円の場合は56,500円)
5年ごとの更新手数料 10,900円

登録後の5年のあいだには、更新のための要件も必要です。センターが示す方法には、2,000字以上の研究報告の提出、1日の特別講座(21,000円)の受講、月刊誌「不動産コンサルティングプラス」の年間購読(15,360円)とレポート提出(800字以上)などがあります。更新には、登録時に使った宅建士などの資格が有効であることも必要です。

出典:試験概要、登録手続、継続学習(更新要件)、更新申請手続 (2026年10月3日確認)

転職で不動産コンサルティングマスターが評価される理由

不動産ファンドの事業で、法令上の要件を満たせる

センターは、マスターに認定された人が、次の3つの法令上の要件で扱われると説明しています。

  • 不動産特定共同事業法の「業務管理者」になる資格
  • 不動産投資顧問業登録規程の、登録申請者・重要な使用人の知識についての審査基準を満たす資格
  • 金融商品取引法の「不動産関連特定投資運用業」を行う場合の人的要件を満たす資格

なかでも、不動産特定共同事業(投資家から出資を集めて不動産を運用・分配する事業)の業務管理者は、事務所ごとに1名以上置く必要があります。国土交通省の資料によると、業務管理者は、事業者の従業者であること、宅建士であること、そして不動産特定共同事業の実務を3年以上経験している、または登録証明事業から同等の能力の証明を受けていることを満たす人です。登録証明事業には、不動産コンサルティング技能試験・登録事業が含まれています(令和5年12月末時点)。

つまり、不動産特定共同事業の実務経験がなくても、宅建士でマスターに登録していれば、業務管理者の条件を満たせるということです。この仕組みが、求人票の「必須」に結びついています。

出典:公認 不動産コンサルティングマスターとは|不動産流通推進センター、不動産特定共同事業の許可の要件|国土交通省 (2026年10月3日確認)

求人では「必須」「歓迎」「手当」の3つの形で書かれる

求人ボックスで「不動産コンサルティングマスター」を含む検索(資格名・資格手当・歓迎)をして出てきた個別の求人のうち、本文に資格名が書かれていたものを確認すると、次の3つの形に分かれました。

  • 必須:不動産特定共同事業の業務管理者の募集(福岡県の東亜不動産)は、宅建士であり、公認不動産コンサルティングマスターの登録済み、ビル経営管理士の認定済み、不動産証券化協会認定マスターの認定済みのいずれかに当てはまることを要件にしています。大阪府の不動産開発会社の募集は、必須要件に、不動産コンサルティングマスターと宅建士の資格を挙げています。
  • 歓迎:不動産ファンドの運用・マネジメント(オープンハウスグループ)、アセットマネジメント推進(レオパレス21)の募集は、歓迎条件にマスターの資格を挙げています。ここでの必須条件は、ファンド運用の経験や宅建士で、マスターは上乗せの扱いです。
  • 手当:ビル管理のプロパティマネジメント(総合施設管理)は月8,000円、賃貸仲介(住まい専科マツオカ)は月1万円の資格手当の対象です。

「必須」と書かれる求人は、ファンド・開発・業務管理者といった上流のポジションが中心でした。賃貸仲介や管理の現場では、手当の対象にはなっても、必須にはなっていません。

手当は、宅建士の手当より低い

資格手当の金額を、同じ求人に書かれた宅建士の手当と比べます。

求人 不動産コンサルティングマスター 宅建士 その他の例
総合施設管理(新宿区・ビル管理) 月8,000円 月2.4万円 管理業務主任者 月8,000円、不動産鑑定士 月4万円、一級建築士 月2.4万円
住まい専科マツオカ(愛知県江南市・賃貸仲介) 月1万円 月2万円 二級建築士 月1.5万円、FP2級 月5,000円

マスターの手当は、宅建士の半分から3分の1でした。受験料と登録手数料の合計5万500円を手当だけで取り戻すには、月1万円でも約5か月、月8,000円なら約6か月かかります(手当を出す会社に勤める場合で、更新の費用は含みません)。手当目当てで取る資格ではなく、上流の仕事に進む条件を広げる資格と考えるのが現実的です。

求人の出典は、次の章の表にまとめています。

不動産コンサルティングマスターが転職で有利にならないケース

ここまで読むと魅力的な資格に見えますが、有利にならないケースも正直にお伝えします。

(1)宅建士の登録や実務が足りず、登録できない場合

受験はできても、登録の要件(宅建士証の交付と、不動産の実務3年以上)を満たさないうちは、「公認 不動産コンサルティングマスター」を名乗れません。合格した年度から5年後の3月末日という期限もあります。合格後に実務を積む計画がない場合は、合格が履歴書の「合格」の一行で終わってしまいます。

(2)宅建士証が失効している場合

登録の申請日に有効な宅建士証がない人は、登録できません。更新も、登録時に使った宅建士などの資格が有効であることが条件です。宅建士証の更新を忘れると、マスターの登録や更新にも影響します。

(3)勤め先や志望先に、企画・投資・開発の仕事がない場合

試験は、事業計画、企画提案書の作成、不動産投資分析、相続対策、不動産の証券化などを問います。賃貸仲介だけを続ける会社や、開発・運用の業務がない会社では、学んだ内容を使う場面が少なく、評価も手当にとどまります。資格を活かしたい仕事が、今の会社にあるかを先に確かめてください。

(4)資格だけでポジションが決まると考えている場合

大阪府の不動産開発会社の募集は、マスターと宅建士に加えて、基本的な不動産評価・事業収支の考え方を理解していることを必須にしています。オープンハウスグループの募集も、必須は不動産ファンドの運用や、ファンド系不動産会社での経験です。資格は条件の1つであり、実務の経験とセットで見られます。

とはいえ、これは「取っても意味がない」という話ではありません。実務経験とセットで見せれば、上流の仕事に応募できる条件になる資格です。次の章で、状況別の活かし方を見ていきます。

【経験別】あなたの場合、不動産コンサルティングマスターは武器になる?

宅建士で実務5年前後の人は、受験して登録し、上流の求人に応募する

もっとも有利になるのが、このタイプです。宅建士として売買・賃貸・管理の実務を5年ほど積んでいれば、受験に合格したあと、講習なしで登録を申請できます。

登録後に広がるのは、次のような選択肢です。

  • 不動産特定共同事業の業務管理者の求人に応募できる
  • ファンド運用や開発、用地仕入れの求人で、歓迎条件を満たせる
  • 手当を出す会社で、月8,000円〜1万円の上乗せが付く

今の会社で、マスターを持っても手当や担当が変わらない場合は、資格を評価する会社へ移る選択もあります。資格を評価する会社かどうかは、求人票だけでは見分けにくいものです。不動産業界に詳しい転職エージェントなら、手当の有無や、上流の業務を任せてもらえるかまで確認してから応募できます。

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宅建士で実務3〜5年の人は、講習ルートの費用と期限を確認して受験する

実務が3年以上5年未満の人は、合格後に登録講習(合計5万5,000円〜)を受ければ登録できます。受験料と登録手数料を合わせると、取得までに10万円を超える費用がかかります。

会社が費用を負担する制度がないかを、先に確認しましょう。たとえば大阪市の不動産会社(ANS)の宅建士の求人は、「不動産コンサルティングマスターなど、さらなるステップアップとなる資格取得も会社が全面的にバックアップ」と書いています。取得を支援する会社に勤めているか、支援する会社へ移るかで、自己負担が変わります。

宅建士で実務3年未満の人は、まず実務で登録要件を満たす

受験はできますが、合格しても登録できるのは実務が3年に達してからです。合格効力の期限(合格した年度の末から5年後の3月末日)の範囲で、実務が3年になる時期を逆算して、受験の年度を決めましょう。

実務の内容は、宅建業・不動産賃貸業・不動産管理業に関するものが対象です。今の仕事が賃貸管理や売買の営業なら、そのまま実務経験になります。

宅建士の資格登録がない人は、先に宅建士の登録を済ませる

宅建試験に合格しただけで資格登録をしていない人は、受験資格がありません。先に宅建士の資格登録(実務2年、または登録実務講習の修了)を済ませ、不動産の仕事に就くことが最初の一歩です。受験資格には「今後従事しようとする人」も含まれるため、転職前でも宅建士の登録があれば申し込めますが、マスターの登録に必要な実務経験は、不動産の仕事に就いてから積むことになります。

詳しくは、宅建士の記事で解説しています。

宅建士(宅地建物取引士)は転職に有利?

不動産鑑定士・一級建築士の人は、受験の条件と実務の中身が違う

不動産鑑定士なら鑑定評価業務、一級建築士なら建築設計業務・工事監理業務が、登録に数えられる実務です。宅建士での実務とは合算できないので、建築士の資格で受験して不動産会社の企画・開発職へ移りたい人は、この点を先に確認してください。

不動産コンサルティングマスターを活かせる仕事と年収の目安

仕事 主な内容 資格の効き方 求人記載の給与(例)
不動産特定共同事業の業務管理者 出資を集めて不動産を運用する事業の、勧誘・契約説明などの監督管理 ◎ 宅建士+マスターの登録が要件の求人がある 月給30万〜75万円、想定年収360万〜900万円(東亜不動産、福岡市)
事業開発・コンサルティング 事業承継や資産改善の提案、共同事業会社の設計、不動産特定共同事業の推進 ◎ 必須要件にマスターと宅建士 年収900万〜1,400万円以上(大阪府の不動産開発会社)
不動産ファンドの運用・開発 事業計画の立案、ゼネコンとの折衝、融資の調整、アセットマネジメント ○ 歓迎条件(必須はファンド運用の経験など) 年収800万〜1,500万円(オープンハウスグループ、千代田区)
アセットマネジメント推進 不動産証券化・開発事業の企画立案と実行 ○ 歓迎条件(必須は宅建士など) 想定年収494万〜659万円(レオパレス21、中野区)
ビル管理のプロパティマネジメント テナント管理、ビルオーナーの収益最大化 △ 資格手当の対象(月8,000円) 月給31.5万円〜、想定年収443万円〜(総合施設管理、新宿区)
賃貸仲介・営業 賃貸物件の紹介・契約 △ 資格手当の対象(月1万円) 月給24.1万〜58万円、想定年収320万〜720万円(住まい専科マツオカ、愛知県江南市)

出典:求人ボックスの個別求人ページ(2026年10月3日確認。最終更新日は各求人ページの表示)

年収は、職務・勤務地・経験・みなし残業代の扱いで大きく変わります。上の表は、求人に書かれた給与の範囲であり、マスターを持つ人の平均年収ではありません。資格の有無で給与が決まるというより、資格を条件に挙げる職種の給与帯が高いと読むのが正確です。

あわせて取得すると強い資格

宅地建物取引士(宅建士)

受験にも登録にも欠かせない土台の資格です。宅建士証が有効でないと、マスターの登録も更新もできません。

不動産証券化協会認定マスター

不動産ファンド・証券化の分野で、マスターと並べて書かれる資格です。東亜不動産の募集では、不動産特定共同事業の業務管理者の条件として、マスターと並ぶ選択肢に挙がっていました。レオパレス21の募集では、歓迎資格として一緒に書かれています。証券化・ファンド系の仕事に進みたい人は、補完として検討する価値があります。

不動産コンサルティング技能試験に合格するには

出題範囲は6科目と広く、記述式で応用力を問われる

択一式は、事業・経済・金融・税制・建築・法律の6科目から50問です。記述式は、実務・事業・経済が必修で、金融・税制・建築・法律から1科目を、当日に問題を見て選びます。計算問題(電卓使用可)、空欄補充、50〜100字程度の短い文章で答える設問があります。

試験は、「令和8年度 不動産コンサルティング基本テキスト」の内容を中心に出題されますが、テキスト以外からの出題も一部あります。法令は、実施年度の4月1日現在で施行されているものが基準です。

つまずきやすいのは次の3点です。

  • 経済・金融の分野
    景気指標、GDP、日本銀行の金融政策、金利と不動産価格の関係など、宅建の学習で中心になる法律とは性質の違う知識を問われます。日ごろのニュースや公的資料(経済財政白書、土地白書、日銀の資料)に触れておく必要があります
  • 記述式の事業・実務
    相談を受けてから企画提案書を出すまでの手順や、事業収支の計算、不動産投資分析など、知識を使って組み立てる力が問われます。択一式で点が取れても、記述式で差がつきます
  • 選択科目の選び方
    金融・税制・建築・法律の4科目から、当日に選びます。自分が得点しやすい科目を、直前期までに決めておくと、当日に迷う時間を減らせます

公式の教材と講座を軸に、過去問で記述式を練習する

センターは、学習方法として、基礎の講座やテキストで固めたあとに、実践力を養うセミナーを受ける流れを案内しています。

  • 基本テキスト:「令和8年度 不動産コンサルティング基本テキスト」(3冊セット、7,000円)。通信講座(入門研修)と基礎教育に申し込む人は、テキストを別に買う必要はありません
  • 通信講座:不動産コンサルティング入門研修インターネット通信講座は、動画の総視聴時間が約12時間30分で、演習問題(正誤式210問、四肢択一120問)があり、期間中は繰り返し視聴できます。対象は、不動産業に就業している宅建士です
  • スキルアップセミナー(半日・8,000円):入門研修または基礎教育を修了した人が受けられます
  • 過去問:センターのサイトで、令和7年度の問題見本(択一式・記述式の抜粋)が公開されています。市販では、住宅新報出版の「不動産コンサル過去問5年間」があります

進め方は、出題範囲のPDFと問題見本で弱い科目を洗い出し、テキストか通信講座で6科目を一巡し、記述式は計算と50〜100字の記述を時間を測って手で書く順がおすすめです。直前期は、令和8年度版の「不動産税制の手引」と「不動産関連法令改正のポイント」(各950円)で改正点を確認しましょう。復習では、正解したかだけでなく、なぜその答えになるのかを自分の言葉で説明できるかまで確認してください。

出典:学習方法|不動産流通推進センター、令和8年度 試験概要(PDF) (2026年10月3日確認)

不動産コンサルティングマスターを活かして転職を成功させる進め方

資格名だけでなく、仕事の言葉で求人を探す

求人検索では、「不動産コンサルティングマスター」だけでなく、「不動産特定共同事業」「アセットマネジメント」「用地仕入れ」「プロパティマネジメント」「事業開発」などの言葉でも探しましょう。資格名が書かれていなくても、事業収支や企画提案の経験を求める求人は多くあります。

求人票では、マスターが「必須」「歓迎」「手当」のどれなのかを読み分けてください。

職務経歴書で、資格と実務をつなげる

「不動産コンサルティングマスター 取得」と書くだけでは伝わりません。「地主に賃貸建物の建設を提案し、事業収支計画と企画提案書を作成した」「相続対策として資産の組み換えを提案した」など、試験で学ぶ内容を使った場面を具体的に書きましょう。

合格だけで登録前の人は、前の章のとおり、「合格」と「登録(認定)」を分けて書きます。

転職エージェントを味方につける

ここまでのステップを1人で進めるのは、仕事をしながらだとかなり大変です。そして何より、マスターを持っている人ほど、転職エージェントを使う価値があります。

理由はシンプルで、この資格が必須・歓迎になる求人は、上流のポジションに偏っていて、求人票だけでは仕事内容や評価の仕方を読み切れないからです。

転職エージェントを使うメリットは?

求人探しから応募、企業とのやり取りまで、相談できることは主に5つあります。対応範囲はサービスによって異なります。

年収や資格手当の条件を相談できる

「資格手当は付きますか」「登録の費用を会社で負担してもらえますか」と、応募者が自分から切り出すのは気が引けるものです。エージェントは企業との間に入り、年収などの条件を相談できます。

「宅建士として実務を積み、事業収支の作成と企画提案の経験がある」という強みを、企業が評価しやすい形で伝えてもらえるので、同じ経歴でも提示される条件が変わることがあります。

希望に合う求人を紹介してもらえる

「ファンドや開発の仕事に進みたい」「今の仕事の延長で、手当が出る会社へ移りたい」「業務管理者の募集を知りたい」。希望を伝えるだけで、条件に合う求人を選んで紹介してもらえます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえるサービスもあります。

入社前に職場の実情を確認できる

マスターは手当の対象か、登録や更新の費用に補助はあるか、上流の業務を実際に任せてもらえるか、必須条件の経験はどの程度か。入社してから「思っていたのと違った」とならないよう、応募前に確認できます。

書類や面接の対策をしてもらえる

資格と実務の経験を職務経歴書にどう書けば評価されるか、面接で事業収支や企画の経験をどう伝えればいいかを、業界を知る担当者がアドバイスしてくれます。

面接の日程調整を任せられる

面接の日程調整や企業とのやり取りを代わりにしてもらえるサービスがあり、今の仕事を続けながらでも転職活動を進められます。

さらに、ここで紹介する転職エージェントは、求職者が無料で利用できると公式サイトに案内されています。

こんな人は、まず相談だけでもしてみてください

  • マスターの資格があるのに、今の会社では手当も担当も変わらない
  • 実務は積んだが、ファンド・開発・資産運用の仕事にどう進めばよいか分からない
  • 提示された給与に、みなし残業代や手当がどれだけ含まれているか分からない
  • 登録や更新の費用を、会社が負担してくれるか確かめたい
  • 転職するかはまだ決めていないが、自分の経験でどんな求人があるか知りたい

1つでも当てはまるなら、エージェントに相談してみましょう。あなたの経験と資格ならどれくらいの条件の求人があるのか質問し、答えてもらうだけでも価値があります。

どの転職エージェントが自分に合う?

転職エージェント タイプ 特徴 向いている人
宅建Jobエージェント 特化型(不動産) 不動産業界に特化。賃貸営業・売買営業・仕入れ開発・管理・事務職から希望を選べる。不動産業界の経験者が在籍し、面接対策や書類添削を行うと案内 宅建士として不動産の営業・管理を経験した人、手当を出す会社や開発・仕入れの仕事へ移りたい人
JAC Recruitment(公式サイト・新しいタブで開きます) 特化型(ハイクラス) ハイクラス・エグゼクティブに特化。非公開求人を含めて紹介し、サービスはすべて無料と案内 年収の高い上流のポジション(ファンド・開発・事業企画)を目指す、実務経験が豊富な人
リクルートエージェント(公式サイト・新しいタブで開きます) 総合型 公開求人と非公開求人を扱い、書類添削・面接対策・年収交渉を行うと公式に案内 不動産以外の業界も含めて比べたい人、勤め先の事業とマスターを結びつけたい人

迷ったら、不動産特化型か、ハイクラス向けの1社と、総合型を1社、合わせて2社に登録するのがおすすめです。紹介される求人を比べることで、自分の経験と資格がどう評価されるかがより正確にわかります。

よくある質問

不動産コンサルティングマスターは意味ない資格ですか?

確認できた手当は月8,000円と1万円で、同じ求人の宅建士の手当より低い金額でした。一方で、不動産特定共同事業の業務管理者の条件を満たせたり、ファンド・開発系の求人で必須・歓迎に挙がったりする点で、上流の仕事に進む条件になります。宅建士の実務経験とセットで見せることで意味のある資格です。

宅建試験に合格しただけで、受験できますか?

できません。受験できるのは、宅建士・不動産鑑定士・一級建築士の「資格登録」を済ませた人です。宅建士の資格登録には、宅建試験の合格に加えて、実務2年以上か、登録実務講習の修了が必要です。宅建士証の交付は、受験の時点では不要です。

資格手当はいくらくらいですか?

確認できた求人では、月8,000円と月1万円でした。同じ求人の宅建士の手当は、月2.4万円と月2万円です。金額や、対象かどうかは会社により異なるため、応募前に確認しましょう。

合格率と合格点はどれくらいですか?

令和7年度の合格率は45.4%(受験者1,118人・合格者508人)で、合格基準は200点満点中110点以上でした。過去5年の合格基準点は、110〜115点です。

独学で合格できますか?

センターは、学習方法に関する個別の相談は受け付けていませんが、基本テキストと問題見本、公式の講座を案内しています。出題範囲は6科目と広く、記述式は書く練習が必要です。記述式は、時間を測って書く練習を重ねましょう。

資格の更新は必要ですか?

認定証の有効期間は5年で、更新が必要です。更新手数料は10,900円で、有効期間のうちに研究報告の提出や講座の受講などの更新要件を満たします。更新の手続きをせずに登録が抹消されると、再登録はできず、改めて試験に合格する必要があります。

まとめ:あなたの次の一手

不動産コンサルティングマスターは、宅建士として不動産の実務を積んだ人が、事業企画・ファンド・開発といった上流の仕事に進むときの条件になる資格です。一方で、受験には宅建士などの資格登録が必要で、合格後も実務経験を満たすまでは認定されません。確認できた求人では手当は宅建士より低く、必須になるのは上流のポジションが中心です。

令和8年度の申込みは終了しています。令和9年度の日程は、公表されたらセンターのサイトで確認してください。すでに登録まで済ませている人は、試験を待たずに、手当の有無と、上流の業務を任せてもらえるかを確かめて、求人を選びましょう。

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参考

執筆・編集

資格転職ノート編集部企画・執筆・更新

企画から執筆・更新まで一人で行っています。